私たちが優れたデザインの建築物に出会ったとき、その出来栄えに感心し、それを眺めることに没頭しがちである。その一方で、建築家がその建築をどのように構想・設計したのか、という試行錯誤の軌跡を知る機会はあまりない。 建築家は、何を思考の出発点として、いつ・どのようにしてデザインを決定するのか? こうした疑問に答える書籍、「建築スタディ 発想の方法 デザインを決めた50人の模型・ドローイング」が2024年6月に発売された。 同書では、50人の建築家の頭のなかを探るべく、多彩な実例をもとに、彼らが試行錯誤のなかで見出した「気づき」を紹介する。そのきっかけは、方法・関係・構造・空間・表皮・ディテール・社会・環境など、バラエティに富む。実際の建築、思案中の模型やドローイング、あるいは設計者が「できた!」と思った瞬間のものを見比べることで、それぞれの苦心やオリジナリティも明らかになるはずだ。 編著者は、自