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  • 書評七福神の3月度ベスト発表! - 翻訳ミステリー大賞シンジケート

    書評七福神とは!? 今月もやってきました「書評七福神」のコーナー。第1回翻訳ミステリー大賞も決定しましたし、新たな気持ちでこの欄も盛り上げていければと思います。第2回の大賞候補作は、このコーナーから出るでしょうか? さて、今月の一冊です。 (ルール) この一ヶ月で読んだ中でいちばんおもしろかった/胸に迫った/爆笑した/虚をつかれた/この作者の作品をもっと読みたいと思った作品を事前相談なしに各自が挙げる。 挙げた作品の重複は気にしない。 挙げる作品は必ずしもその月のものとは限らず、同年度の刊行であれば、何月に出た作品を挙げても構わない。 要するに、の選択に関しては各人のプライドだけで決定すること。 掲載は原稿の到着順。 北上次郎 『リックの量子世界』 デイヴィッド・アンブローズ/渡辺庸子訳(創元SF文庫) 帯に「平行世界SF」とあるので最初からネタバレだが、奇想ミステリーとしても読むことが

    my_shun
    my_shun 2010/03/30
  • 初心者のためのジェフリー・ディーヴァー(執筆者・池田真紀子) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート

    ジェフリー・ディーヴァー=ジェットコースター・ミステリー。 いきなり断言してしまいましょう。この看板に偽りはありません。ディーヴァー作品の表紙を開くのは、遊園地のジェットコースターの、あの狭苦しくも安心なシートにおさまり、安全バーをぐっと握り締める行為に等しい。あとはもう、がたごとと高みまで運び上げられたあと、思いきりよく突き落とされるだけです。レールは山あり谷あり、豪快な急カーブあり。途中で下りることは許されず、ひたすら終点に向けて突っ走るのみ。スリル満点の旅が保証されています。 ただ、そんな楽しい旅も、終点でがつんと急ブレーキをかけられ、「はい、お帰りはこちら!」とそっけなく放り出されたとしたら、せっかくの楽しさもそこで半減してしまうでしょう。リピーターにはなりたくない。 その点、ディーヴァー・コースターは、どれを選んでも安心です。終点に一服の清涼剤を用意し、読者が乱れに乱れた心をほっ

    初心者のためのジェフリー・ディーヴァー(執筆者・池田真紀子) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート
  • 2009年、私のベスト10暫定版第9回 その1(執筆者・小山正) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート

    ドン・ウィンズロウの大作『犬の力』の人気が高いねえ。それに匹敵するのが、北欧から登場した超弩級の新人スティーグ・ラーソンの大作『ミレニアム』シリーズだ。両者のどちらを上位とするかは個人の自由だが、私の場合は後者が上。『犬の力』も良かったが、心から胸がときめいたのは『ミレニアム』だった。 確かに『犬の力』は読みごたえ満点だし、小説としての完成度も高い。だから多くの人がベスト10投票で高得点を入れるのも頷ける。私自身も各種投票で高得点を入れた。 が、しかし。南北アメリカの麻薬戦争という題材と、そこに巻き込まれた人間たちの壮絶なドラマは、小説ではないけれどもウォルター・ヒル監督によるマニア好みの映画『ダブル・ボーダー』(一九八七)や、マイケル・マン制作のTVムービー『ドラッグ・ウォーズ/麻薬戦争』(一九九一)、近年だとスティーヴン・ソダーバーグ監督の傑作映画『トラフィック』(二〇〇〇)などで経験

    2009年、私のベスト10暫定版第9回 その1(執筆者・小山正) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート
  • 書評七福神の11月度ベスト発表! - 翻訳ミステリー大賞シンジケート

    書評七福神とは!? 「書評七福神」とは、翻訳ミステリーが好きで好きでたまらない書評家七人のことである。 日々貪るように翻訳ミステリーを読んでいる七人に、この一ヶ月で読んだ中でいちばんおもしろかった/胸に迫った/爆笑した/虚をつかれた/この作者の作品をもっと読みたいと思った作品を挙げてもらった。当然事前相談なし、挙げた作品の重複ももちろん調整なし。挙げられる作品は必ずしも今月のものとは限らない。今年度の刊行であれば、何月に出た作品を挙げても構わないというルールだからだ。 先月は七人中五人と、マット・ラフ『バッド・モンキーズ』が圧倒的な支持を集めたが、果たして今月は……。 霜月蒼 『洋梨形の男』ジョージ・R・R・マーティン/中村融編訳(河出書房新社) 非ミステリ攻略月間たる11月に読んだなかで断然ベスト。SF系の叢書だけどミステリ・ファンでも全然OKっす。マーティンて短篇もうまいなあ。どれもパ

  • 秋深し、今宵は短篇ベスト5 その1(執筆者・小山正) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート

    秋も深まり、暖かい飲み物が恋しい季節になった。先日も新宿東口の老舗名曲喫茶店らんぶるに行き、熱いコーヒーを飲みながら、買ったばかりのジョージ・R・R・マーティンの中・短編集『洋梨型の男』(河出書房新社)を読むことにした。 古いスピーカーからはベートーヴェンの交響曲第5番「運命」がほどよい音量で聞こえてくる。「ジャジャジャジャーン」 この店の音楽が良いのは、曲をダイジェストではなく、第四楽章までしっかり聴かせてくれる点だ。有線放送にありがちな細切れのクラシック・チャンネルではないのだろう。ちゃんとレコードをかけているのかな? 「ジャジャジャジャーン」 音楽に合わせ、にがみと渋みの混じったホットを飲む。あー、たまらん。下らないダジャレに聞こえるので言いたくはないが、でも、やっぱり言いたい。うんめえ。 最初の一編「モンキー療法」を読み始めると、これが私好みの「猿ネタ」のバカ話だった。ピザ好きの肥

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  • 2009年、私のベスト10暫定版第7回・その1(執筆者・古山裕樹) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート

    1ドン・ウィンズロウ『犬の力』(角川文庫) 犬の力 上 (角川文庫) 作者: ドン・ウィンズロウ,東江一紀出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2009/08/25メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 175回この商品を含むブログ (190件) を見る犬の力 下 (角川文庫) 作者: ドン・ウィンズロウ,東江一紀出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2009/08/25メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 41回この商品を含むブログ (171件) を見る2ロバート・リテル『CIA ザ・カンパニー』(柏艪舎) CIAザ・カンパニー〈上〉 (文芸シリーズ) 作者: ロバートリテル,渋谷比佐子,鬼頭玲子,水野恵出版社/メーカー: 柏艪舎発売日: 2009/01/15メディア: 単行購入: 1人 クリック: 4回この商品を含むブ

    2009年、私のベスト10暫定版第7回・その1(執筆者・古山裕樹) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート
  • クラシック音楽の扱いがマトモなミステリ、ベスト5・その1(執筆者・酒井貞道) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート

    この手の記事を書く場合、「クラシック音楽はミステリによく似合う」などと適当に論旨をでっち上げて始めるのが王道だろう。しかし嘘を書くには、私はあまりにもクラシック音楽とミステリの双方を愛し過ぎている。だから正直に書くことにしよう。 クラシック音楽一般がミステリ一般に似合う事実は一切ない。作者・作品がクラシック音楽をうまく使えたかという個別具体論あるのみだ。ただし傾向を捉えて、こうは言えるかもしれない。「それらは、クラシック音楽ファンにとっては噴飯ものであることが多い」と。 なぜ噴飯ものであるかだが、これはクラシック音楽がどのように世の中一般に受容されているかに大いに関係している。このジャンルの音楽は、残念なことに、高級・高尚・上品または荘重なイメージが一般に広まっている。むろんそれはクラシック音楽の一面を捉えた見方であり、100%間違いだと言うつもりはない。しかし一方で聴く者の肺腑を抉る生々

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  • 初心者のためのスティーヴン・キング(執筆者・白石朗) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート

    ここでいう初心者とは、サイトをごらんになるほど読書好きなのに、なぜかキング作品にふれたことのない方や、そびえるキング山脈を見あげてボリュームに圧倒され、手を伸ばさずにいた幸運な方々のことです。そんな方々にキング作品を薦めるのは、ある意味でとびきりの毒を処方するようなもの。ですからここでは、初心者のあなたにあえておすすめしないキング作品を三作品だけ選びました。 たとえば『ミザリー』。キャシー・ベイツ主演の映画で物語のアウトラインはご存じでしょうし、キング作品のなかでは手ごろな一冊なので、うっかり手にとる方がいるかもしれません。熱狂的ファンの中年女性の手で冬山の一軒家に幽閉され、新作執筆を迫られた作家が体験する想像を絶する体験も、映画館やテレビで映像を見ているだけなら、作家の苦しみや痛みに同情しつつ鑑賞しているだけです。あのとびきり「痛い」シーンで一瞬びくんと飛びあがっても、すぐ映画館の座

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  • 2009年、私のベスト10暫定版第6回・その1(執筆者・中辻理夫) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート

    1『静かなる天使の叫び』R・J・エロリー(集英社文庫) 静かなる天使の叫び (上) (静かなる天使の叫び) (集英社文庫) 作者: R・J・エロリー,佐々田雅子出版社/メーカー: 集英社発売日: 2009/06/26メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログ (20件) を見る静かなる天使の叫び (下) (静かなる天使の叫び) (集英社文庫) 作者: R・J・エロリー,佐々田雅子出版社/メーカー: 集英社発売日: 2009/06/26メディア: 文庫 クリック: 2回この商品を含むブログ (20件) を見る2『犬の力』ドン・ウィンズロウ(角川文庫) 犬の力 上 (角川文庫) 作者: ドン・ウィンズロウ,東江一紀出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2009/08/25メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 175回この商品を含むブログ (190件

    2009年、私のベスト10暫定版第6回・その1(執筆者・中辻理夫) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート
  • 驚きの共感を味わえるのがミステリー劇の醍醐味・・・・極私的ミステリー劇ベスト5・その1(執筆者・松坂健) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート

    のっけから私事にわたってしまうことをお許し願いたいのだが、僕の家内がフーダニットという名のミステリー劇専門の劇団活動をやっていることはご存じの方が多いと思う。今年2009年で活動10年目、板に乗せたお芝居も20近くの演目数を数えている。中には、若竹七海さんのオリジナル台が3編、辻真先さんのものが2編含まれていることが、我が劇団の誇りでもあるのだけれど、それ以外でもクリスティのものやフランス。ミステリー劇の鬼才、ロベール・トマなどの作品にも取り組んでいる。 どうして、こんな劇団を作ったかの経緯については、実は、ついこの間の日経済新聞10月16日付け朝刊の文化面(最終ページ)に大きく取り上げられたので、お読みになった方も多いと思うが、要するに、観客のみなさんを驚かせたい、その稚気から出発したようなものだ。 ミステリー劇の醍醐味は、なんといっても様々な驚きが、同じ瞬間、大勢の他人と共有できる

    驚きの共感を味わえるのがミステリー劇の醍醐味・・・・極私的ミステリー劇ベスト5・その1(執筆者・松坂健) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート
  • 書評七福神の10月度月間ベスト発表! - 翻訳ミステリー大賞シンジケート

    書評七福神とは!? 「書評七福神」とは、翻訳ミステリーが好きで好きでたまらない書評家七人のことである。 日々貪るように翻訳ミステリーを読んでいる七人に、この一ヶ月で読んだ中でいちばんおもしろかった/胸に迫った/爆笑した/虚をつかれた/この作者の作品をもっと読みたいと思った作品を挙げてもらった。当然事前相談なし、挙げた作品の重複ももちろん調整なし。挙げられる作品は必ずしも今月のものとは限らない。今年度の刊行であれば、何月に出た作品を挙げても構わないというルールだからだ。 さて、今月の結果はいかに……。 北上次郎 『バッド・モンキーズ』マット・ラフ/横山啓明訳(文藝春秋) 第一作は風間賢二氏、第二作は山形浩生氏、第3作は大森望氏と、「一筋縄ではいかない小説の錚々たる読み手たちがマット・ラフ作品を絶賛している」と訳者あとがきにあったので、これはオレ向きではないなと思ったのだが(特に大森望)、これ

  • 2009年、私のベスト10暫定版第5回・その1(執筆者・霜月蒼) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート

    1『犬の力』ドン・ウィンズロウ(角川文庫) 犬の力 上 (角川文庫) 作者: ドン・ウィンズロウ,東江一紀出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2009/08/25メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 175回この商品を含むブログ (190件) を見る犬の力 下 (角川文庫) 作者: ドン・ウィンズロウ,東江一紀出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2009/08/25メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 41回この商品を含むブログ (171件) を見る2『メアリー−ケイト』ドゥエイン・スウィアジンスキー(ハヤカワ・ミステリ文庫)メアリー‐ケイト (ハヤカワ・ミステリ文庫) 作者: ドゥエインスウィアジンスキー,Duane Swierczynski,公手成幸出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2008/11メディア: 文

    2009年、私のベスト10暫定版第5回・その1(執筆者・霜月蒼) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート
  • 逃げろ! 追いかけろ! 逃亡と追跡小説五選その1(執筆者・西上心太) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート

    1ハンス=オットー・マイスナー『アラスカ戦線』(ハヤカワ文庫NV) アラスカ戦線 (ハヤカワ文庫 NV 22) 作者: ハンス・オットー・マイスナー,松谷健二出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1972/08メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (3件) を見る2デズモンド・バグリイ『高い砦』(ハヤカワ文庫NV) 高い砦 (ハヤカワ文庫NV) 作者: デズモンドバグリィ,Desmond Bagley,矢野徹出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2006/01/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 6回この商品を含むブログ (12件) を見る3ギャビン・ライアル『深夜プラス1』(ハヤカワ・ミステリ文庫) 深夜プラス1 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 18‐1)) 作者: ギャビン・ライアル,菊池光出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1976/04メ

    逃げろ! 追いかけろ! 逃亡と追跡小説五選その1(執筆者・西上心太) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート
  • 2009年、私のベスト10暫定版第4回・その1(執筆者・杉江松恋) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート

    1『犬の力』ドン・ウィンズロウ 犬の力 上 (角川文庫) 作者: ドン・ウィンズロウ,東江一紀出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2009/08/25メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 175回この商品を含むブログ (190件) を見る犬の力 下 (角川文庫) 作者: ドン・ウィンズロウ,東江一紀出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2009/08/25メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 41回この商品を含むブログ (171件) を見る2『ミレニアム』スティーグ・ラーソン ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上 作者: スティーグ・ラーソン,ヘレンハルメ美穂,岩澤雅利出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2008/12/11メディア: ペーパーバック購入: 6人 クリック: 304回この商品を含むブログ (134件

    2009年、私のベスト10暫定版第4回・その1(執筆者・杉江松恋) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート
  • 古典はつねに新しい。ミステリの歴史を遡るベスト5 その1(執筆者・藤原義也)  - 翻訳ミステリー大賞シンジケート

    最近新訳が出たジェイン・オースティンの『ノーサンガー・アビー』(1817)(中野康司訳、ちくま文庫)に、ヒロインのキャサリンが友だちのイザベラとの話をする場面がある。朝起きてからずっとアン・ラドクリフの『ユードルフォの謎』を読んでいたというキャサリンは断言する。「『ユードルフォの謎』はほんとに面白いわね。一生読んでいたいくらい」すると、やはりラドクリフ・ファンのイザベラは、次は一緒に『イタリア人』を読みましょうと言い、「あなたのために、怖い小説を十冊ほどリストにしたわ」と、手帳に書き留めておいた書名を読みあげる。 一日中好きな小説を読みふけり、チェックリストをつくり、お勧めを教えあう。いつの時代も好きのやることは同じだなあ、と思う。 ここで二人の少女がはまっているアン・ラドクリフとは、18世紀末から19世紀初めの英国で大流行したゴシック小説の代表的作家。ゴシック小説というと、怪奇幻想

    古典はつねに新しい。ミステリの歴史を遡るベスト5 その1(執筆者・藤原義也)  - 翻訳ミステリー大賞シンジケート
  • 古典はつねに新しい。ミステリの歴史を遡るベスト5 その2(執筆者・藤原義也)  - 翻訳ミステリー大賞シンジケート

    (承前) 一世を風靡したラドクリフ夫人の作品も、現在ではそのテンポが悠長に過ぎるし、二百年前の読者をとりこにしたサスペンスも、残念ながら少々色あせてしまっている。ゴシック小説で、現代のミステリ・ファンにお勧めしたいのは次の二作。 (1)ウィリアム・ゴドウィン『ケイレブ・ウィリアムズ』(1794)(岡照雄訳、国書刊行会・品切) ケイレブ・ウィリアムズ (1982年) (ゴシック叢書〈18〉) 作者: ウィリアム・ゴドウィン,岡照雄出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 1982/07メディア: ? クリック: 2回この商品を含むブログ (3件) を見る 陰な性格ながら慈悲深い地主フォークランドのもとで働くケイレブが、好奇心から主人の秘密を探偵し、彼が過去に犯した恐ろしい罪を突きとめる。すると土地の有力者で絶対的な権力をもつフォークランドは、逆にケイレブを脅迫して執拗な迫害を加えていく。追う

    古典はつねに新しい。ミステリの歴史を遡るベスト5 その2(執筆者・藤原義也)  - 翻訳ミステリー大賞シンジケート
  • 2009年、私のベスト10暫定版・第3回 その1(執筆者・川出正樹) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート

    1位 ドン・ウィンズロウ『犬の力』(東江一紀訳/角川文庫) 犬の力 上 (角川文庫) 作者: ドン・ウィンズロウ,東江一紀出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2009/08/25メディア: 文庫購入: 8人 クリック: 175回この商品を含むブログ (190件) を見る犬の力 下 (角川文庫) 作者: ドン・ウィンズロウ,東江一紀出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2009/08/25メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 41回この商品を含むブログ (171件) を見る2位 スティーグ・ラーソン〈ミレニアム〉三部作(ヘレンハルメ美穂・他訳/早川書房) ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上 作者: スティーグ・ラーソン,ヘレンハルメ美穂,岩澤雅利出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2008/12/11メディア: ペーパ

    2009年、私のベスト10暫定版・第3回 その1(執筆者・川出正樹) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート
  • どん底・転落サスペンス ベスト5 その1(執筆者・吉野仁) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート

    私が終わる場所 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ク 12-1) 作者: クリス・クノップ,熊谷千寿出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/09/07メディア: 文庫この商品を含むブログ (2件) を見る クリス・クノップ『私が終わる場所』熊谷千寿訳(ハヤカワ・ミステリ文庫) ジョン・バーナム・シュワルツ『帰らない日々』高瀬素子訳(ハヤカワ・ミステリ文庫/旧題『夜に沈む道』) ケント・ハリントン『死者の日』田村義進訳(扶桑社) デイヴィッド・グーディス『狼は天使の匂い』真崎義博訳(ハヤカワ・ミステリ) スティーヴ・ヤーブロウ『酸素男』松下祥子訳(ハヤカワ文庫NV) アメリカにおけるサブプライム・ローン破綻に端を発し、リーマン・ブラザース倒産で拍車をかけた世界的な大不況は、いまだ出口の見えない状況だ。しかしながら、好景気のときでさえ、確実に安泰だといえる人生などない、のである。明日のことさえ

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  • わが愛しのハードボイルド、ベスト5(執筆者・権田萬治) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート

    ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection) 作者: レイモンド・チャンドラー,村上春樹出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2009/03/06メディア: 新書購入: 2人 クリック: 24回この商品を含むブログ (79件) を見る レイモンド・チャンドラー『ロング・グッドバイ』(村上春樹訳、ハヤカワ・ミステリ文庫) ロス・マクドナルド『さむけ』(小笠原豊樹訳、ハヤカワ・ミステリ文庫) エリオット・ウェスト『殺しのデュエット』(石田善彦訳、河出文庫) アンドリュー・ヴァクス『ブルー・ベル』(佐々田雅子訳、ハヤカワ・ミステリ文庫) デニス・レヘイン『スコッチに涙を託して』(鎌田三平訳、角川文庫) ノーマン・メイラーふうにいうと、 “厚い権力の壁に向かって孤独な挑戦のトランペットを吹く” というのが、『ロング・グッドバイ』のフィリップ・マーロウの印象だった。

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  • 2009年、私のベスト10暫定版・第2回(執筆者・池上冬樹) - 翻訳ミステリー大賞シンジケート

    1位 スティーグ・ラーソン『ミレニアム』三部作(ヘレンハルメ美穂・岩澤雅利訳/早川書房) ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 上 作者: スティーグ・ラーソン,ヘレンハルメ美穂,岩澤雅利出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2008/12/11メディア: ペーパーバック購入: 6人 クリック: 304回この商品を含むブログ (134件) を見るミレニアム2 上 火と戯れる女 作者: スティーグ・ラーソン,ヘレンハルメ美穂,山田美明出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2009/04/02メディア: ペーパーバック購入: 5人 クリック: 63回この商品を含むブログ (88件) を見るミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士 上 作者: スティーグ・ラーソン,ヘレンハルメ美穂,岩澤雅利出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2009/07/09メディア: ペーパーバック購入: 10人 クリック:

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