mynalxmuseのブックマーク (132)

  • 非常勤講師という被差別民

    早稲田大学が、今年度から非常勤講師の契約の上限を5年と決めたことに対して、非常勤講師15人が大学を刑事告訴した。これは直接には新しい就業規則が労基法違反だという訴えだが、根的な問題は「契約社員は5年雇ったら正社員にしなければならない」という労働契約法の規定である。 常識で考えれば、非常勤講師を5年雇ったら終身雇用にしろと規制したら、4年11ヶ月で契約を解除するのは大学経営としては当然だ。この労働契約法改正については、私を含めて多くの経済学者が反対したが、厚労省の官僚と労働政策審議会の圧倒的多数を占める労働法学者には、この程度の論理的な推論もできないのだろうか。 私も非常勤講師をしているが、同じような仕事をしながら大学ほどひどい差別をしている職場はないだろう。授業が90分で、1コマ7000円だ。往復2時間の通勤や準備や試験監督なども考えると、時給はコンビニのアルバイトと大して変わらない。他

    非常勤講師という被差別民
  • なぜ人々はテールリスクを無視するのか

    タレブがウェブサイトに出した”Antifragile”の数学付録がちょっとおもしろいので、紹介しておこう。ここで彼は、投資銀行や経済学者がなぜ「ブラック・スワン」を見落とすかを説明している(テクニカル)。 経済学の理論でもっとも疑問の余地のない理論と考えられている比較優位を考えてみよう。たとえばポルトガルの衣服のコストがイギリスの90%であるのに対して、ワインのコストが50%だとすると、ポルトガルは衣服をつくるのをやめてワインに完全特化し、その代金でイギリスから衣服を輸入することによって利益を得られる。イギリスも衣服に特化して同様の利益を得ることができる。 しかしある年、葡萄が大凶作になって、ワインの生産量が20%ぐらいに落ちたとしよう。そうするとワインの生産に完全特化たモノカルチャーでは、人々の大部分が職を失う。つまりワインのコストは定数のようにみえるが、こういうリスクを含んだ関数なのだ

    なぜ人々はテールリスクを無視するのか
  • 非正社員の敵はどこにいるのか

    非正規労働者のメーデーというのがあったそうだ。田中龍作なる自称ジャーナリストによると「竹中平蔵センセイ率いる産業競争力会議が提唱する『解雇規制の緩和』は、参院選後の秋の国会に向けて格的に検討されるようだ」とのことで、規制強化を求めてデモが行なわれたというが、彼らは敵を間違えている。 解雇規制を緩和すれば非正規は増える。賃金のアップは太陽が西から昇ってもありえない。リストラをすれば企業の内部留保は増え株価はあがる。 アベノミクスが招来するのは、1%の富裕層がさらに豊かになり、99%は底なしの貧困に落とし込まれる社会だ。 と田中氏はいうが、そもそも解雇規制は非正社員に適用されない。彼らは契約が終わったら「雇い止め」されるだけで、解雇する必要なんかないのだ。「正規社員には危険手当が出るが、非正規には出ない」などという差別も正社員の特権だ。こうした身分差別の最たるものが解雇規制であり、それをなく

    非正社員の敵はどこにいるのか
  • 壊れゆく内田樹氏

    内田氏については、これまでもたまにネタにしてきたが、きょうの朝日新聞に出ている「壊れゆく日という国」を読むと、いよいよ彼も壊れたようだ。彼は「国民国家としての日が解体過程に入った」というのだが、その国民国家を壊しているのは「グローバル企業」だといい、トヨタを槍玉に上げる。 トヨタ自動車は先般、国内生産300万台というこれまで死守してきたラインを放棄せざるを得ないと報じられた。国内の雇用を確保し、地元経済を潤し、国庫に法人税を納めるということを優先していると、コスト面で国際競争に勝てないからであろう。 わが国の大企業は軒並み「グローバル企業化」したか、しつつある。いずれすべての企業がグローバル化するだろう。繰り返し言うが、株式会社のロジックとしてその選択は合理的である。だが、企業のグローバル化を国民国家の政府が国民を犠牲にしてまで支援するというのは筋目が違うだろう。 この「政府が国民を犠

    壊れゆく内田樹氏
  • 家族ぐるみの雇用が「性間格差」をもたらす

    ノア・スミスが安倍首相を賞賛しているポイントは、私もニューズウィークに書いたが、この原因は(外国人がよく誤解する)日の儒教的伝統といった単純な問題ではない。 日の女性は、伝統的には農作業の主な担い手だった。日の農業は「勤勉革命」といわれる労働集約的なもので、女性は育児や家事だけをやっているわけではなかった。速水融氏によれば、1823年に記された農書では、公的な休日は1年間に男性27.5日、女性28.5日だった。 「専業主婦」という奇妙な現象が発生したのは、西洋でも近代以降だが、日では戦後だった。都市化によって女性が農作業から解放される一方、男性がサラリーマンになって頻繁に転勤するようになったからだ。これは市場の変化を内部労働市場で調整するシステムとしてはすぐれていたが、転勤のときはが会社を辞めなければならない。 日的雇用慣行では、男性は定年までの雇用を保障される代わりに残業も転

    家族ぐるみの雇用が「性間格差」をもたらす
  • タテ社会をヨコに動ける改革

    きのうの産業競争力会議で「解雇を原則自由に」という提案が出たようだ。さっそく労組から反発の声が出ているが、こういう問題提起の仕方だと、また小泉政権のときの失敗を繰り返しそうな気がする。あのときも「格差が拡大する」といった野党のキャンペーンにやられた。 むしろ今、雇用改革を必要としているのは、労働者である。優良企業だった電機メーカーでも何万人も希望退職が出る現状では、もはや日中の企業がみんな「ブラック企業」になりつつある。経営者が終身雇用を約束しても、会社がつぶれたらおしまいだ。必要なのは、守れない約束を無理やり守らせる規制ではなく、約束が守れなかったとき労働者を守るルールである。 労働基準法を改正して解雇ルールを明確化することがベストだが、これはいろいろな審議会で「労働側委員」が反対するので絶望的だ。それより簡単な改革として、金銭的な補償で解雇できるようにすることだ。外資では「退職パッケ

    タテ社会をヨコに動ける改革
  • 北欧はなぜ成功したのか

    バラマキ補正とインフレ目標に続く「3目の矢」は、成長戦略だそうである。潜在成長率を上げる政策には意味があるが、経産省の張り切っている「新ターゲティングポリシー」なんて有害無益だ。それより今週のEconomist誌におもしろい特集が出ている。 アメリカやEUが不況から抜け出せないのに対して、北欧諸国が元気だ。上の図のように一人当たりGDPは世界の上位を占め、成長率も高い。その最大の原因は政府の効率性だ、とEconomist誌はいう。政府への国民の信頼度は高く、「政府を信頼する」と答えた国民の比率は50~60%とEU平均の2倍近い。 この一つの原因は政府が小さく、地方分権化されていることだ。人口が最大のスウェーデンでも900万人と大阪府ぐらいで、それがさらに小さな州にわかれて予算の独立性も高いので、国民は「足による投票」で地方政府を選べる。政府予算は公共事業や補助金ではなく所得の直接再分配に

    北欧はなぜ成功したのか
  • 朝日新聞の誤解しているアベノミクス

    原発についての朝日新聞の記事はでたらめだが、経済記事もひどい。特にけさの1面に出ている「デフレ脱却、成長目指す〈アベノミクスってなに?〉」は、頭の悪い大学生が書いたような記事だ。 値段が下がれば、メーカーや販売店の売り上げや利益が減って業績が悪くなる。給料を減らされたり、リストラされたりして家庭も買い物を控えるようになり、さらにモノが売れなくなる。この悪循環がデフレスパイラルだ。 まず「値段が下がれば業績が悪くなる」のか。これは一つ一つの商品の値段(相対価格)と物価水準を混同しているが、デフレとは物価水準が下がることだ。商品の価格が1%下がっても、物価が1%下がれば、実質的な価値は変わらない。消費者にとっても、同じ給料で買えるものは増え、ユニクロのように安くなったものはたくさん売れる。デフレは消費者にとってはいいことなのだ。 次によくあるのが「デフレスパイラル」だ。前述のようにデフレで「業

    朝日新聞の誤解しているアベノミクス
  • 「見えざる手」の神話 - 『なぜ豊かな国と貧しい国が生まれたのか』

    イギリスで産業革命が起こったのは、民主主義によって財産権が保証され、国家の経済活動への介入が少なく、生産活動が旺盛だったからだ。スペイン・フランスなどの専制君主は重税を課して財産権を侵害したため、経済活動が停滞した――と経済学者は教えているが、これはアダム・スミス以来のお伽話である。 実際にはイギリスの税率はフランスの2倍以上で、それを主に負担していたのは選挙権のない労働者だった。フランスでは国王の権力が弱かったため、灌漑や道路などの建設ができず、領邦が分立して戦争が続いた。これに対してイギリスでは、名誉革命で統一国家ができ、強制収用によって産業インフラの建設が進められた。つまり産業革命を生んだのは「見えざる手」ではなく、国家の暴力だったのだ。 ニュートンなどの「科学革命」も産業革命とは無関係だった。初期の紡績機械や自動織機を生んだのはニュートン力学ではなく、労働者を節約する圧力だった。産

    「見えざる手」の神話 - 『なぜ豊かな国と貧しい国が生まれたのか』
  • 内田樹氏の知らない最低賃金制度

    〆切がたまっているのだが、内田樹氏の愚劣な記事を読むと、世の中には彼をありがたがる人もいるので、訂正しておかなければならない。彼はこう書く: 橋下市長は「最低賃金のルールがあると、あと2,3人雇えるのに1人しか雇えなくなる。安く働けということではなく、賃金はできるだけ出して雇用も生んでもらう」と30日の記者会見で述べた。市長はたぶん四則計算ができるはずだから、1人当たり時給800円のルールを廃止して、それで3人雇うということは、1人当たり時給267円になるということはわかると思う。 内田氏は小学生レベルの算数もできないらしい。「あと2,3人雇えるのに1人しか雇えなくなる」という言葉を、勝手に「1人分の賃金で3人雇う」と解釈しているが、もちろん橋下氏のいっているのはそういう意味ではない。たとえば従業員100人の工場で800円×100人の賃金原資は8万円/時。ここで80000/103=776円

    内田樹氏の知らない最低賃金制度
  • 暴走する安倍晋三氏

    安倍総裁の暴走が止まらない。きょうは「建設国債を日銀に引き受けさせる」と約束したようだ。これを「国債を10年間で200兆円発行する」という国土強靱化法案と組み合わせると、毎年20兆円の建設国債を増発して日銀に引き受けさせ、土建業界に金をばらまくヘリコプターマネーになる。 第一の問題は、こんな政策に意味があるのかということだ。安倍氏は「建設国債を日銀に買ってもらうことで強制的にマネーが市場に出ていく」というが、日銀引き受けで増えるのは政府支出であり、これは建設国債を民間が買って日銀が買いオペで吸収するのと同じだ。日銀に引き受けを強制する必要があるのは、1930年代のように民間で消化できないときだけだ。 第二の問題は、財政法で国債の日銀引き受けが禁じられていることだ。これを改正することは、あからさまに日銀の国債ファイナンスを制度化することになり、財務省も日銀も強く反対するだろう。それを押し切っ

    暴走する安倍晋三氏
  • 安倍晋三氏のためのインフレ入門

    何度も同じ話をしたが、マクロ経済政策が珍しく政治問題になっているので、安倍晋三氏にもわかるようにやさしく解説してみよう(繰り返しなので、興味のない人は無視してください)。たぶん安倍氏は、次のように考えていると思う。 物価水準はマネーの量を物の量で割ったものだから、物の量が変わらないときマネーを増やせばインフレになる。 デフレが続いているのは、日銀が思い切ってマネーの量を増やさないからだ。 3%のインフレ目標を設定し、物価上昇率が3%になったところでマネーを増やすのをやめればいい。 日銀がやってもだめなら、政府が公共事業でマネーをばらまけばいい。 これはすべて間違いである。順にみていこう。 物価に影響するのは日銀の供給するマネタリーベースではなく、市中に流通するマネーストックであり、後者は日銀が直接コントロールできない。たとえば日銀が市中銀行から短期国債を買って現金を供給すると、それが企業へ

    安倍晋三氏のためのインフレ入門
  • 陰謀史観

    ニューズウィークで、ベストセラー『戦後史の正体』をちょっとからかったら、ツイッターで著者がコメントしてきたので、おもしろいから補足しておこう。 孫崎氏のは、率直にいって陰謀史観としても出来が悪い。書が紹介するように、格的な陰謀史観は、シオンの議定書とか田中上奏文とかもっともらしい出典があり、その陰謀をどのように実現するか具体的に書かれているものだ。 ところが孫崎氏の根拠は、ほとんどが状況証拠と伝聞だ。たとえばアメリカが細川首相を失脚させた経緯を次のように書く: まず最初に、米国は連立内閣の要である武村官房長官について「北朝鮮に近すぎるから、彼を切るように」という指示を出します(この事情については小池百合子議員が自身のブログで紹介しています)。 それをうけて細川首相は、一時、女房役の武村官房長官のクビを切る決意をします。しかしこの場合は、細川首相自身が佐川急便からの借入金返済疑惑を野党

  • 大江健三郎氏の幼稚な平和主義

    韓国の中央日報によれば、「大江健三郎氏ら日の知識人と市民団体が『領土問題を論じるには、日が先に歴史を反省しなければならない』という声明を発表した」そうだが、ネット上には大江氏の署名入りの声明は見当たらない。それらしいのは「許すな!憲法改悪・市民連絡会」なるウェブサイトだが、その内容は荒唐無稽だ。 「日の竹島(独島)編入は日露戦争中の1905年2月、韓国(当時大韓帝国)の植民地化を進め、すでに外交権も奪いつつあった中でのものであった」と書いているが、日韓併合は1910年。その5年前には韓国は独立していたし、当時それに抗議もしていない。領土問題が発生したのは、1952年に韓国が竹島を李承晩ラインで囲い込んでからである。 「尖閣諸島も日清戦争の帰趨が見えた1895年1月に日領土に組み入れられ、その3カ月後の下関条約で台湾、澎湖島が日の植民地となった」と台湾の併合と一体のように書いている

    大江健三郎氏の幼稚な平和主義
  • 愚者の行進

    昨夜は官邸前で反原発デモが盛り上がったらしい。こういう古典的な大衆運動は日ではもう終わったと思っていたが、アメリカの”Occupy Wall Street”と同じように、ソーシャルメディアが大衆運動を活性化したのかもしれない。それは悪くないのだが、彼らの「大飯原発の再稼働阻止」という目的はナンセンスだ。 すでに運転許可が出て再稼働の作業は始まっているので、これを止めるには電気事業法にもとづく技術改善命令が必要で、デモは役に立たない。他の原発を動かすなという示威だとすれば、それはすでに5兆円に達している原発停止による損失をさらに拡大するだろう。つまりこれは日をさらに貧しくしろというデモなのだ。 原発の健康リスクは火力より小さく、運転を止めることで安全にもならない。このまま原発を止め続けると、数年で東電以外の電力会社も債務超過になる。それを避けるためには、コストを利用者に転嫁するしかない。

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  • 「全員一致」という建て前

    産経新聞によると、民主党の輿石幹事長は「全会一致が原則の自民党総務会を参考にした新たな意思決定のあり方」を検討するそうだ。自民党総務会は「村の寄り合い」の意思決定が現代に残っている例としてよく引き合いに出されるが、民主党まで「江戸時代」に戻ろうというのだろうか。 きのうの記事でも書いたように、日の組織でものが決まらない一つの原因は、全員一致が原則になっていることだが、実際には政治的決定で全員の意見が一致することはほとんどない。決定できない場合は先送りされるが、それもできないで決まってしまった場合はどうするのだろうか? 山七平は『日人とユダヤ人』で、そういう場合の「日教」の知恵を紹介している。それはルールを100%守る必要はないと考えるのだ。 たとえば個人情報保護法では、5000人以上の個人情報をもつ人は「個人情報取扱事業者」として役所に届け出る義務がある。年賀状ソフトのCD-ROM

    「全員一致」という建て前
  • 心情倫理党と責任倫理党

    小沢一郎氏が離党し、新党結成の意向を示した。その会見によれば、反増税と反原発を掲げて選挙を戦うつもりらしい。「消費大増税採決に反対する超党派国民集会」では、鳩山元首相と社民・共産党の党首が同席し、福島みずほ氏は「小沢新党との連携も視野に入れている」と語った。 これはわかりやすい対立だ。一方には小沢氏からみんなの党に至る心情倫理の政治家が結集し、他方には民主・自民の大連立で責任倫理の党ができれば、意味のある選択肢ができる。ウェーバーは『職業としての政治』でこう述べた。 人が心情倫理の準則のもとで行動する――宗教的にいえば「キリスト者は正しきを行ない、結果を神にゆだねる」――か、それとも人は(予見しうる)結果の責任を負うべきだとする責任倫理の準則に従って行動するかは、底知れぬほど深い対立である。 政治にタッチする人間、すなわち手段としての権力と暴力性に関係をもった者は悪魔と契約を結ぶ者であるこ

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  • 日本はなぜ開戦に踏み切ったか

    国会事故調の報告書は非科学的であるばかりでなく、社会科学的にも幼稚だ。問題が経済学でおなじみのregulatory captureだとすれば、対策は簡単である。監視機関の独立性を強化して徹底的に規制すればよい。「原子力規制庁」をめぐる議論も、もっぱらこういう規制強化論だが、私はほとんど効果がないと思う。 それは日の組織の欠陥が、規制当局の命令を業者が実行しないという(経済学の想定する)プリンシパル・エージェント問題にはないからだ。サラリーマンならよく知っているように、日の大企業の意思決定の特徴は、小さな問題から先に決め、大きな問題を先送りすることだ。書は、これを両論併記と非決定という言葉で要約している。 日の組織には最終決定権者がいないため、みんなの合意が得やすい小さな問題については何回も打ち合わせして入念に決めるが、その前提となる大きな問題は意見がわかれるので、事務局が両論併記し

    日本はなぜ開戦に踏み切ったか
  • 勤勉革命の呪縛

    おとといのニコ生アゴラでも議論になったことだが、日の役所の縦割り構造は常軌を逸している。個人情報保護法の関連法だけで1800もあり、同じような法律を各省庁や業界ごとにつくっているという。これは企業も同じで、パナソニックの津賀新社長は「当社は中小企業の集合体だ」という。 このような日の組織のタコツボ的な性格は、中根千枝や丸山眞男など多くの人々に指摘されてきたが、その原因ははっきりしない。その一つは、『気分はまだ江戸時代』でも論じたように、日が異例に平和で、多くの村をまとめて戦争する必要がなかったことだろう。戦国時代には統一国家のできる兆しもあったが、その途中で徳川家が全国の1/4を統治した状態で戦争を「凍結」してしまった。 この平和な時代に、日の人口は1000万人から3000万人以上に激増した。その過剰人口を消化するために起こったのが、労働集約的な技術で生産性を上げる勤勉革命だった。

  • ただ乗りの誘惑

    小沢健二氏のエッセーが8000以上もRTされて、私のところにも飛んできた。話は単純で、反原発デモを「対案がない」と批判するのはおかしい、というものだ。 音楽では、楽器も弾けない人に「あのアルバムは駄作だ!」なんて批判されるのは普通です。それに対して僕らが「じゃあ対案は何だ? 言ってみろ! お前が良いアルバムを作れないなら、黙ってろ!」とやり返すことがあるでしょうか? 反原発デモは、対案を出している。このたとえでいうなら、彼らは「駄作だ」と批判するだけではなく「お前はアルバムを作るのをやめろ」と言っているのだ。「原発がいやだ」というだけなら害はない。誰でもいやに決まっている。反原発デモは「すべての原発を止めて損害は国民が負担しろ」という対案を出しているから危険なのだ。 大江健三郎氏は、外国人特派員協会で「原発事故の原因は日人の国民性にある」という国会事故調の報告を賞賛し、「日人の戦後の国

    ただ乗りの誘惑