明治から続く統計指標:エンゲル係数 総務省統計局統計調査部消費統計課長 阿向 泰二郎 今年は、明治元年(1868年)から満150年の年に当たります。幕末・維新は、日本が近代国家への第一歩を踏み出し、社会経済が発展を遂げる原点と言えますが、現在の総務省統計局の前身組織が作られたのもこの頃(明治4年)で、近代公的統計の原点でもあります。 この約150年前に発表され、いまなお多くの方々に知られる統計指標と法則に、「エンゲル係数」と「エンゲルの法則」があります。いずれも発見者であるエルンスト・エンゲル(1821-1896年)の名前が付けられています。 エンゲルは、ザクセン王国、プロイセン王国の統計局長を歴任したドイツの統計学者で、彼が『ザクセン王国における生産及び消費事情』(1857)、『ベルギー労働者家族の生活費』(1895)の論文の中で示した生計費に関する経験則が、エンゲルの法則と呼ばれる