初音ミクのフィギュアと渋谷慶一郎さん初音ミクのフィギュアと渋谷慶一郎さん 「私、死ぬの?」。舞台上に映し出されたバーチャルシンガー「初音ミク」が問い、歌う。メロディーとノイズが混在した音響がスピーカー数十台から鳴り響く。歌手もオーケストラもいない。 オペラ「THE(ジ) END(エンド)」。昨年12月に発表し、今秋、パリ・シャトレ座公演を控える。初音ミクや電子音を、あえて西洋文化や古典を体現するオペラという形式にのせた。理由は挑発的だ。「オペラは死んだ形式。もう新しいものは生み出せない。だが、西洋にこちらのことを伝えるにはちょうどいい入れものだ」。尊敬でも反発でもなく「愛憎半ば」。西洋音楽へのスタンスをそう表現する。 今年1月、つてもあてもないシャトレ座を訪ねた。高校卒業直後、父の死去で失意に落ち込むなか渡仏し、ここで見たオペラに感激した記憶が残る。自作の映像を見せると、支配人は開口