洪水等で濡れてしまった本や文書の乾燥とカビ退治を、電子レンジで使われている電磁波(マイクロ波)で連続して行うシステムがチェコスロバキア共和国で開発された。2002年にチェコを襲った大洪水からの国立図書館等での被災資料の救済・復旧プロジェクトから生まれたもの。 紙媒体のマイクロ波による乾燥や滅菌処置はこれまでも試験的に行われてきた。紙の乾燥はまず表面の含有水分が蒸発し、その結果生じる表面と内部との水分傾斜によって水分の拡張移動が起こり、乾燥が進行する。ただ、マイクロ波による強い熱が集中する箇所(ホットスポット)が生じることにより、その箇所だけ焼けてしまったり、鉄分を含んだ資料(没食子インク等で書かれた文書)が傷んでしまう–等の問題があり実用化が難しかった。 今回のチェコ共和国の科学アカデミーと国立公文書館が共同で開発したシステムは、特殊なセラミック板で資料を挟むことで、熱の集中を分散