脳の中を切るロボトミーなどの精神外科は,非人道的な手術として,日本では封印された.しかしそれは,「過去のあやまち」として片付けてよいものではなく,現代の脳科学の研究・臨床とさまざまな形で関わっているのではないか.「精神を切る手術」の歴史から考える,刺激的な脳科学論. ■著者からのメッセージ 精神医療の専門家ではない私が,脳を切って精神疾患を治そうとする試み=「精神外科」について本を書くことになったのは,脳科学の研究と応用がもたらす問題について考えたかったからです. 人の精神の活動がどのように実現するか知るために,脳に分け入ることはどこまで許されるでしょうか.この問題を考えるために私は,人間の脳に一番ひどいことをした例とされる精神外科について知ることから始めようと思い立ちました.何が許されないか,最も極端な例から学ぼうとしたのです. そこで精神外科の歴史を調べてみると,その時々の脳研究の進展
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