防潮堤建設計画が大幅に変更され、津波被害を受けた砂浜が復元された大谷海岸=宮城県気仙沼市で2021年10月21日、本社ヘリから梅村直承撮影 東日本大震災から10年以上たって、町のシンボルだった砂浜を取り戻した地域がある。宮城県気仙沼市本吉町にある大谷(おおや)海岸。今年7月、津波で削られ姿を変えた砂浜が復元され、住民の歓声が青い海に響いた。震災直後にあがった防潮堤の建設計画では、砂浜は消失するはずだった。 震災前の大谷海岸は美しい松原を背に遠浅の砂浜が続き、環境省の「快水浴場百選」に選ばれた県内有数の景勝地だった。JR気仙沼線の大谷海岸駅の目の前にあり、多い時では県内外から6万人以上の海水浴客や観光客が訪れた。しかし、最大20メートルの津波がその姿を一変させた。 2012年7月、住民説明会で津波を防ぐ防潮堤の建設計画が示された。大谷海岸で建設される予定の防潮堤は高さ9・8メートル、底辺幅4