夏目漱石 吾輩は毒虫である。名はザムザという。なんでこうなったのか頓と見当がつかぬ。何かしら不安な夢を見ていた気がするが、夢とは動物の体をかくも変化せしめる程のエネルギーを持っていたかしらん。腹にうじゃうじゃついている足が気色悪いのだがそれを舐める舌もない。あれほど好きな毛繕いももう出来ぬのだろうか。今の現実こそこれ悪夢である。主人が吾輩を見れば何と言うだろうか、「ごろごろ虫みたいに寝転がってるから、本当に虫になりおった」主人が吾輩の姿を見る時は吾輩が家で休息しておる時か、珍しく躁鬱の気が消え落ちついて外界を見ることが出来るようになった時である。したがって吾輩の外での勇猛果敢なる活躍や、疳の虫が爆発した主人の目に止まらぬよう家を駈け回る敏捷な姿を主人は目にしていないのである。いつもごろごろなどとは腹立たしい。最もまだそう言うと決まったわけではないのだが。あの主人なら巨大な毒虫がかつての愛猫
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登録:2000/02/21 改訂:2003/05/20 ● 小説(文章)を書くのに役に立つかもしれない豆知識 ● この豆知識は、基本的には私個人の覚え書きのようなものです。なにか文章を書きたい、と考えている人の参考になればと思い作ってみました。小説以外にも、文章を書くときに役立つことを書いていこうと思っているので、参考になれば幸いです。 目次 ♪豆知識1…編について ♪豆知識2…原稿用紙について ♪豆知識3…禁則処理等について ♪豆知識4…文章構成の基本について ♪豆知識5…点検と推敲について まえがき 小説を書くってなんだか難しそう、文章書くのは苦手という人は大勢居るとでしょう。実際書いて見るとそんなに難しいものではありません、上手下手はありますけど。要はどれだけ恥を捨てられるかです。度胸一発、一度書いてしまえば慣れます。どんどん書いていきましょう。 次ぎに文章力ですが、こ
Article:ポンティ分類法(+α)によるシナリオ構築 ポンティというフランス人が、ストーリーの根幹をなすパターンを36に分類したものを「シチュエーション36の分類」として著しています。これは劇作家のために作られたのですが、桐生茂氏の「シナリオメイキングガイド/新紀元社」や、野田高梧氏の「シナリオ構築論/宝文社」でも引用されているように、一般のストーリーにも充分に通用する分類法です。 AVGやRPGは基本的にドラマチックな展開を持つため、鷹月はこれを引用して、ゲームシナリオという面から再構成し直してみました。 Article Written: 98/3/19 Article Modified: 99/3/4 【分類一覧】 ポンティの分類した36ワードは以下の通りです。 01、哀願・嘆願 02、救助・救済 03、復讐 04、近親者同士の復讐 05、追走と追跡 06、苦難・災難 07、残酷な
『変身』1点(100点満点中) 全部作り直す以外に道はない 以前、あまりミステリを読んだことのない女友達(30代 美人)に、「何かいい本はない?」と聞かれたとき、私は一冊のミステリ小説を彼女に紹介した。 その本は、最初の1ページから抜群に面白い、いわゆる「猛烈な面白さの引力に引き込まれる」タイプの小説で、その作家の代表作のひとつとされる、紛れもない傑作だった。そして、その作品最大の特長は、冗談抜きで「最後の1行で涙があふれる」感動の恋愛物語であるという事だった。 それはもう、世界の中心で何かを叫んで喜んでいるような人が読んだら、あまりのレベルの違いに腰が抜けるであろうと思われる大傑作だ。その彼女もいたく感激したようで、おかげでそのお礼に、私にすばらしい一夜をプレゼントしてくれた。 ……わけはなく、「次はもっと面白いのを買って」などという、困難極まりない課題を私に課したのである。美人とは、同
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