尖閣諸島での、中国巡視船による「領海侵犯」が繰り返し報じられている。ただ意外と理解されていないことだが、たんに日本の領海に入るだけでは「領海侵犯」は成立しないのである。 ■中国の軍艦が領海に入っても、それだけでは「領海侵犯」にはならない 国連海洋法条約第17条は「無害通航権」を定めている。これは海上交通の便宜を図るために、領海上の主権を一部制限するものである。沿岸国の平和、秩序または安全を害しない限り、全ての船舶は他国の領海を通航することができる(第19条)。巡視船どころか軍艦であっても無害通航権を認めるというのが現行の国際法解釈の主流だ(1)。 PM89 たかとり / naitokz 沿岸国の平和、秩序または安全を害すると認められる行為については具体的に12項目が列挙されている。武力による威嚇または武力の行使であって、沿岸国の主権、領土保全もしくは政治的独立に対するもの。またはその他の国