『仏教の起源』 - diary02『仏教の起源』宮坂宥勝著苦戦している論文作成の参考文献として大阪の古書店で購入。絶版で６千円くらいだったか。著者は密教学者としても著名だが、初期仏教僧団の成立についてユニークな分析をされている。出家前の釈尊について、一般的には、シャカ族の王子として何不自由ない豊かな生活をしていたとイメージされているが、本書はそのような見方を覆す。シャカ族は辺鄙な地にある小さな種族であって、コーサラ国やマガダ国などの新興の帝国に脅かされているちっぽけな存在だったとする。そして、仏教は、ゴータマ・ブッダがゼロから作り上げたものではなく、ヴァッジ族などの共和制種族などの仕組みを取り入れていることを指摘している。また、ゴータマ・ブッダ以前にも種々の仏が存在していたとする「過去七仏」の思想は、後世の作り話ではなく、シャカ族の歴史に実在していた可能性を述べる。さらに、仏教に残るトーテミズムの要素や非アーリアン的宗教要
