副題が「マインドフルネスによる終末期ケア」であって、マインドフルネスが死とどう向き合うようにうながすかの興味で読んだ。 マインドフルネスや禅にとって、自分が「なくなること」は、自分のほんらいのあり方の自覚にいちばん近いものだと思う。「自分がなくなること」はまさに無や空であって、生きているあいだにその自覚がどれだけなせるのだろうか。 そのような期待でこの本を手にとったが、内容は終末期ケアにおける他者へのかかわりを主につづった本なのであって、私には死をむかえる他者にたいしてのケアなどとてもできるものではないと思った。アメリカ仏教では、死をむかえつつある人へのケアを積極的におこなっているようである。日本の仏教は亡くなった後の葬式だけではなく、終末期患者へのケアをおこなうのだろうか。 私の捉えるところによると、マインドフルネスというのは、自分の判断や思い、感情などを捨てることなのであって、他者への