サイモン・クーパー●文 text by Simon Kuper 森田浩之●訳 translation by Morita Hiroyuki グレイザー家はユナイテッドの魂を理解していないと、よく批判される。だが実際、彼らはその魂を完璧に理解している。ただし、「魂」が金になると思っているだけだ。 ナヤニはユナイテッドがグレイザーの下でこんなにも多くのトロフィーを獲得したと言うが、グレイザー家がいなかったらユナイテッドはもっと多くのタイトルを手にしていただろう。この10年間にグレイザー家がクラブから吸い上げた利子や巨額の銀行手数料、あるいは「クラブ管理費」としてポケットに入ってきた金など計5~7億ポンドを移籍市場で使っていたら、どれだけのスター選手を買えただろうか。サポーター団体のマンチェスター・ユナイテッド・サポーターズ・トラストが言うように、「ユナイテッドはクラブのほうがトラクターのよう
浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato スコアのうえでは1-2。だが内容的には、完膚なきまでに叩きのめされた完敗である。 決勝トーナメント進出のためには非常に重要なグループリーグ初戦で、日本はコートジボワールに逆転負けを喫した。 本田圭佑、香川真司のエースふたりの見せ場は少なかった 前半16分にFW本田圭祐が鮮やかな先制ゴールを叩きこんだ以外、まったくと言っていいほど見せ場のない試合だった。キャプテンのMF長谷部誠は「今日は前半も後半も自分たちのサッカーが表現できなかった。それが一番」と敗因を語る。 では、長谷部の言う「自分たちのサッカー」とはどんなものなのか。 ザッケローニ監督が頻繁に口にする言葉を借りるなら、「主導権を握って試合を進めるサッカー」ということになるのだろう。 相手がボールを持った状態で守り
谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro日刊スポーツ●写真 photo by Nikkan sports プロ野球「行く人、来る人」2013 今年もドラフトで育成枠を含めると89人の選手がプロからの指名を受けた。その一方で、かつて「怪物」と呼ばれた男がひっそりユニフォームを脱いだ。8年前の今頃はマスコミの注目を一身に浴び、将来の巨人のエースと嘱望されていた辻内崇伸だ。大阪桐蔭高校時代の3年夏の甲子園で、左腕最速となる156キロを記録。2回戦の藤代(茨城)戦では当時大会タイ記録となる19奪三振をマークした。しかし、高校野球史にその名を刻んだ剛腕のプロ生活は度重なる故障との戦いだった。結局、1度も公式戦の一軍マウンドに上がることなく26歳を前にした今秋、8年間の現役生活にピリオドが打たれた。 一度も一軍のマウンドを経験することなく、8年間のプロ野球生活に別れを告げた辻内崇伸。
ラウル、ロナウドにも“負けない”DF その日は初夏だというのに、肌が痛いほどの日差しだった。 みなとみらいにあるマリノスタウンでの練習を終えた彼は、チームの駐車場を素通りした。愛車が修理中のため、徒歩で裏道から市営地下鉄の横浜駅に向かう。群馬の桐生市の生まれだが、高校卒業後は16年間も横浜で暮らし、獅子ヶ谷に練習場があった新人の頃は電車を使っていたこともあり、足取りは軽快だ。道すがら、チームの“親会社”である日産の新車展示場で、何気なく手渡されたチラシを彼は受け取る。 「俺は他人を認めずにやってきたと思う」 彼はチラシをポケットにしまいながら、さりげなく信条を口にした。 「だから練習でも“今日死んでもいい”というところまで追い込んでやって来た。いつも自分に問いかけた。“あなたはグラウンドで一番でしたか? 練習中、一番戦っていましたか?”って。周りにどう言われようが、妥協したくなかったから、
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