国民の自画像としての安倍/菅政権(下) 「安倍的なるもの」に体現された国民の精神とは何か 白井聡 京都精華大学人文学部准教授 「安倍一強体制=2012年体制」は、安倍抜きでも、あるいは安倍の影響力がゼロになってさえも維持されうる。そんな状況はなぜ生まれたのか。「野党の頼りなさ」「小選挙区制による党中央への権力集中」といった理由づけがさんざん語られてきたが、いずれも表層をなぞっているにすぎない。 日本は曲がりなりにも言論の自由(政権の批判)が保たれ、公正な選挙(少なくとも選挙干渉や票のすり替えなどはない)が行なわれている国である。つまり、合法的に権力批判や政権交代が可能な国であり、選挙による審判を経ずしてこの長期政権が維持されてきたわけではない。 したがって、帰責されるべきは結局のところ国民である。安倍晋三の超長期政権にせよ、2012年体制にせよ、それを許したのは他の誰でもなく日本国民である