2010年の通信業界は、巨人NTT再編論議の行方に注目が集まる。小泉政権が10年に再開を検討するとしたNTT再編論議は、民主党への政権交代でいったん棚上げされた。しかし、今月に開催された総務省の有識者会合で、ソフトバンクなどライバル各社が一斉に組織見直しを再開するよう強く迫るなど、今後、熾(し)烈(れつ)な駆け引きが展開されそうだ。 「NTTの組織再編は閣議決定された事項だ。決定を覆すつもりか」 12月10日、総務省内で開催されたタスクフォース(有識者会合)で、ソフトバンクの嶋聡社長室長は内藤正光総務副大臣に激しく詰め寄った。 また、「光回線ではNTTの独占性が高まっている」(小野寺正KDDI社長)、「NTTのグループ一体化が進んでいる」(藤野隆雄ケイ・オプティコム社長)など、同社の経営形態を問題視する指摘も相次ぎ、NTTの三浦惺社長は「大事なのは顧客が何を求めているか。組織論はその後だ」