言葉の微妙な感性を鍛える、翻訳力 最近、国語の世界では『論語』ブームだと言われています。きっかけは『こども論語塾』(安岡定子・田部井文雄 明治書院)でしょう。この本は絵本形式になっていて、訳文が子供に語りかけるようなやさしい言葉になっているのが特徴です。 漢文というと、中学や高校でチョロっと習うくらいで、大学受験などで漢文を課しているところも少ないですし、ほとんどの人がその世界に触れずに来ています。 ただ、国語教育という観点からみると、非常にメリットがあります。まずは、漢文を通して語い力が豊富につきます。また、「行行(ぎょうぎょう)」や「去去(ここ)」といった独特の表現から、これらの言葉がいったい何をさすのかを想像していかないと読み下すことは不可能なので、類推力や文脈力が自然とつきます。 私は漢文教育こそ、今の私たちにとって必要なものではないか? ということを最近感じ始めています。漢文は、