本記事はノンフィクションライターの安田浩一さんによる寄稿記事です。 もはや都市伝説どころか、「神話」の域にまで達しているかと思いきや、一部ではまだ現実社会の“仕組み”として認識されていることに驚いた。 いわゆる「在日特権」のことである。 在日コリアンが日本社会において優越的な権利を有しているというトンデモ説だ。 在日コリアンは公共料金の支払いを免除されている、大企業への就職に際し優先枠が設けられている、といったものから、政界を牛耳っている、はては日本を支配しているといった、荒唐無稽な陰謀論までもが、いまだネット上にあふれている。 ネットで目にするだけではない。少し前にも、ヘイトスピーチをテーマとした行政主催による講演会の終了後、会場参加者の一人から「あなた(※筆者)が言うとおり差別はよくないと思うが、在日の人たちが特権を持っていることについてはどう思うのか」と真顔で訊ねられたことがあった。
![差別を正当化する妄想の寄せ集め――「在日特権」というデマ(安田浩一さん寄稿) - Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル)Dialogue for People](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/3526f28b9f6895374ebad3eefe1ef296a1ca4ffd/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fd4p.world%2Fwp%2Fwp-content%2Fuploads%2F2023%2F09%2FKEI_5579_r2s.jpg)