今月25日に発売された藤子・F・不二雄大全集『海の王子』第1巻を読みました。『海の王子』を読み返すのは久しぶりです。メカ同士のバトルに並々ならぬ力を注いだ作品だな、と再認識。海の王子が操るはやぶさ号の武器やギミック、敵側のメカの奇抜なデザインは本作の主要な魅力です。主人公の海の王子は清く正しく美しく強い正義の人で、勧善懲悪の物語における善のイメージをまっすぐに担っています。兄の海の王子のことを「おにいさま」と呼んで慕う妹のチマに対し「妹萌え」を感じる、という声を聞いたことがありますが、確かに、チマの純粋なまでのかわいらしさや兄に対する深い敬慕の念は、バトル展開の多いこの作品においてバトルとは別種の清涼剤的な魅力を感じさせてくれます。真剣味に満ちた登場人物が多いなか、お笑い担当のハナさんの存在感はなかなかのもの。 前々回のエントリでも触れたように、『海の王子』は藤子マンガ史、とくに初期藤子マ