今回の顧客満足度調査や、ユーザー企業の取材を通して浮かび上がった言葉が「絆」だ。「危機に直面して初めて、ITベンダーの本当の姿や本音が分かった」。ユーザー各社のシステム部長や担当者は異口同音にこう語る。ユーザー企業はITベンダーの何に感謝し、何に不満を感じたのか---。 「余震だ!外に出ろ!」。東日本大震災から2日が過ぎた3月13日、もぬけの殻のはずの福島県国見町役場の建物から、約10人がかけ声と共にノートPCやPCサーバーを抱えて飛び出してきた。その中には国見町役場の職員のほか、ITベンダーのSEや営業担当者の姿があった。余震が落ち着くと「さぁ、もう少しだ。日が暮れる前にすべて運び出そう」と声を掛け合い、再び役場の中に入っていった。 福島県の最北端に位置する国見町は、人口1万人の小さな町だ。3月11日には震度6強の揺れが襲いかかり、庁舎はぼろぼろになった。地盤は液状化し、天井ははがれ落ち