これまでの日本レース界には、決定的に欠けている要素がありました。 それは『最終目的地』の設定です。 具体的に達成できるできないは別として、いったいなんのために皆が活動しているのかが明確に示されていません。 もちろん『次期オリンピックでできればメダルを取りたい』とか『◯◯ランキングでトップになる』とかの短期の目標というのを聞いたことはあります。 しかし、マクロな目標に触れたことは殆どなく、皆、『世界を目指す』というある意味での曖昧かつ最高の逃げゼリフを口にしながら、小規模の予算で文字通り自転車操業的な活動を堂々巡りさせてきました。 これまで私が見た“意志”のなかで最も効果的だったと感じるものは、浅田監督が示した『ツール・ド・フランスに出場する』という明確な目標です。 現在の日本ロードレース界(世界挑戦という意味での)というのは、この浅田監督が行った試みの『遺産』の上に成り立っていると言っても