観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」が沈没する事故が起きた北海道・知床半島沖は天候が荒れやすい時期が多く、特に斜里町ウトロ地区の観光船の運航は流氷が接岸せず波の穏やかな時期に限られる。このため、船長をはじめとした乗員は季節限定雇用となることも多いという。今回の事故からは、安全な運航を担う船長のスキルアップや収入面を含めた人材確保の問題も浮かび上がってきた。 「全てが常識外れだ」。知床半島周辺での観光船事業に関わる元漁師の男性は、天候の悪化を見通せたはずの4月23日に運航会社「知床遊覧船」(斜里町)が出港に踏み切った判断を疑問視する。カズワンから118番があった23日午後1時過ぎ、網走地方で16・4メートルの強風が吹き、高さ3メートル近い波を観測した。地元の漁業関係者も「普段からしけやすい場所。視界が悪い」と話す。