『リリス』(ジョン・コリア/作、1892年) 体に大蛇を巻きつけて恍惚の表情を浮かべるリリスが描かれている。 リリス (Lilith) は、ユダヤの伝承において男児を害すると信じられていた女性の悪霊である。リリトとも表記される。通俗語源説では「夜」を意味するヘブライ語のライラー(Lailah)と結びつけられる[1]が、古代バビロニアのリリートゥ(後述)が語源とも言われる。 旧約聖書では『イザヤ書』34:14に言及があるのみで、そこではリリス(לִּילִית, 標準ヘブライ語ではリリト Lilit)は夜の妖怪か動物の一種であった[注 1]。古代メソポタミアの女性の悪霊リリートゥがその祖型であるとも考えられている[3]。ユダヤ教の宗教文書タルムードおよびミドラーシュにおいては、リリスは夜の妖怪である。しばしば最初の女とされるが、この伝説は中世に誕生した。アダムの最初の妻とされ、アダムとリリス