行動経済学で2002年ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンが、今回の危機についてインタビューに答えている(Economist's View経由)。 そこで彼は、以下の寓話を披露している。 スイス軍の兵士の一団がアルプスに雪山の行軍の演習に出掛けたが、厳しい天候のために迷子になってしまった。そのうちの一人が近辺の地図を持っていたことを思い出し、それを頼りに何とか一行は町にたどり着き、生還することができた。上官に経緯を報告すると、その上官は地図を見て言った。「地図を見つけたのは結構だが、これはアルプスではなくピレネーの地図だ」 カーネマンはここで、見当違いの地図を役に立たない経済モデルの喩えとして使っている。通常時には役に立った経済モデルも、今のような嵐の時には役に立たない。それでも人々はそれを使い続けている、というわけだ。 その嵐の訪れを事前に予測した経済学者として、カーネマンは、