昭和7年1月8日(金曜日)、読売新聞に以下の宣言が掲載された。その年の文芸時評の一回目である。 ▽僕は、光輝ある読売新聞を通じて、僕が一九三二年より、一九三三年まで、ファシストであることを、万国に対して宣言する。 ▽「中央公論」新年号「現代一百人」の中(うち)で「反省しなけりゃ、お前も駄目だ」と、書いてあったので、毎日、女のことと金使いの事で、反省ばかりしている僕は反省くらい何でも無い、と、その新聞(この名を書くと、無料広告になるから、書いてやらない)を見ると馬鹿野郎が「階級闘争をかいてない」とか「斉彬を神様扱い」にしているとか、そして、僕の「戦争と花」とを、ファシズムだとかーー君らが、そ、そういうつもりなら、ファシスト位には、いつでもなってやる。それで、一二三ん、僕は、一九三二年中の有効期限を以て、左翼に対し、ここに、闘争を開始する。さあ出て来い、寄らば切るぞ。何(ど)うだ、怖いだろう、