他人の間違いを指摘するブログではありません。主に、自分が何を解っていなかったり間違ったりしているのかについて、細々と綴ります。 近代日本医療史に最も貢献した人物を1人あげるならば、川上武だと思います。特に『現代日本医療史』(勁草書房、1965年)において、彼は近代日本医療史の礎を1人で築きあげました。 もっとも、この本は、若くて論理的思考の強い社会科学系の大学院生などには、総花的で、論理性に欠ける本のように思われるかもしれません。実際、私も、大学院時代はじめてこの本に接したとき、そのように思ったものでした。 私が川上が凄いと思うようになったのは、彼がみた史料を私自身で再確認する作業を始めてからでした。作業をはじめてみると、すぐに、川上が1人の人間が発掘できるとは思えない程の史料収集を行っていたことがわかりました。しかもそれは診療傍ら行われたのです。そこには日本の医療に対する情熱の大きさが感