病気や老化で看護や介護が必要になった時、面倒をみてくれるスペシャリストは外国人――。こんな状況が日本でも現実味をおびてきた。日本・フィリピン間の経済連携協定(EPA)締結を受け、政府は向こう2年間にフィリピンの看護師400人、介護福祉士600人を受け入れる。今回の人の移動の自由化が、医療や介護の現場での労働力不足をどれだけ緩和するかは未知数だが、実は人材不足で日本以上に悲鳴を上げているのは、当の送り出し国・フィリピンというから、話は複雑だ。 低下する「送り出し国」の医療水準 今月、国連が発表した「世界人口白書2006」は、貧困国から富裕国への医療分野での「頭脳流出」の現状を、こう描く。今や米国の主要都市で働く看護師・助手の4人に1人は外国生まれ。ニュージーランドでは看護師として登録している人の23%、シンガポールでは30%が外国からの移住者だ。 その裏返しとしてガーナでは2000年に