ずいぶん長く更新しなかったな。この間、吉本隆明さんや安永蕗子さんが亡くなられて、感慨もひとしおだった。近親者の死(吉本さんと同年)にも見舞われた。まだ肌寒い北陸で野辺の送りに立会いながら、「朝には紅顔ありて夕べには白骨」の無常が胸に沁みた。 猫の額よりも狭い庭の、冬のあいだすっかり葉を落として寒々しい枯れ木となっていた枝にいつのまにか青い芽がちらほらと見えたかと思うと、まるで一夜明けたらとでもいうようにいっせいに青葉が生い繁り、たちまち万緑の様相を呈したのには驚かされた。自然のもつ命の力を思った。 むろんこの間、いろいろと本を読んだりもしていたわけだけれど、それらについてなにか書いてみようという気持ちになかなかなれなかった。ようやく春めいてきて、若葉とともにちょっと気持ちが動いてくるところがあった。今日は雨。今頃の雨を若葉雨という。途中まで書いてひさしく打ち遣っていたものを、これを機縁に書