リガの犬たち (創元推理文庫) スウェーデン警察小説というより、もはや世界的なそれとして評価されるクルト・ヴァランダー刑事シリーズの第二作目。原著初版1992年。 前作の影を引きずるところもあるが、本書から読み始めても問題はない。 それよりもスウェーデン近辺の地図を見ておくと、本書の魅力が増すことまちがいなしなので、グーグルマップあたりで一手間かけて、バルト三国との距離を確認しておきたい。 何しろ本書の最大の魅力は、ヴァランダーがスウェーデンの田舎町イースタから出て、アウェイで孤独な戦いを強いられる、そのホームとの距離感、緊張感にあるからだ。 スウェーデン南部の海岸に、ゴムボートが漂着する。中には高級スーツを見まとった男性が二人、抱きあうように死んでいた。指先は万力で潰され、全身に火傷痕。明らかに拷問の犠牲者であった。 身元調査の結果、ラトビアの犯罪者と判明。急遽、ラトビア警察から捜査官が