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2009年9月6日のブックマーク (1件)

  • 坂のある非風景 冷えてゆく美しさ

    水の音が漏れている シンクをピカピカに磨けば 羅刹がわたしの骨に火をつけてゆく 仄暗い夜明けである そればかりか清らかな匂いとともに 猛追してきたのは二月八日の雨だ 中足骨 足根骨 腓骨 脛骨 排水溝にはためきながら落ちてゆく 金魚の紅いひれがわずかに見えたような気がするが 罠 なのだ 最初、テキストのない、作者自身による朗読としてこの詩と出会った。音楽として届けられたそれは「古典的」に聞こえた。そして「聞こえる詩」というものに私が不慣れであることを思った。もし読む詩なら、そこに書かれていない言葉が語る声を行間に読むことができる。では聞こえる詩の行間はいったいどこから届けられるだろう。聞こえない声によって? 聞こえない声を聞く聴覚が必要だ。何かを語っている沈黙と何も語っていない沈黙を聞き分ける耳が必要なのだ。 古典的という印象は、「格調」への寄りかかりからやってくる。それはどれほど自覚的で