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mementに関するnamgenのブックマーク (2)

  • ひとつの時代 - アグリコ日記

    戸外は雪景色になっていた。真綿を敷き詰めたように、木々も地面も生来の色を失くして、ほの白く輝いていた。その中に男が立っていた。黒ずんだ服を身につけた男が3人。きれいな三角形を描いて雪の中に立っていた。いずれも細くて背が高く、同じ顔、同じ服装をしていた。男は雪の中で踊る。一方の膝を真横に上げて菱形の右半分を描き、降ろしてもう片方の膝を上げ、残り半分の菱形を描く。動作は3人とも寸分の狂いなく、軽やかでまるで重さがないように見えた。それどころか足が地面についていない。空間に浮かんだ彼らは向い合わせた鏡の世界のように、動きがまったく重なり合っていた。雪は細かく静かに降り続く。男たちは静かに踊り続ける。それは私に向けてのダンス。次の瞬間私は布団を跳ね除け飛び起きたのだったが、それは不可思議な男たちの存在に対してというよりも、一晩でこんなにも雪が積もってしまっていたということに驚いたからだった。そう、

    ひとつの時代 - アグリコ日記
  • 約束のない再会の雨が降る ひとは何も失うことができない

    見舞い。約束によれば、甲ヒロトの清志郎葬儀の追悼文を読むこと、清志郎のCDを持っていくこと、それと「村上春樹を読んで」と言われた。ほとんど果たしたが、村上春樹の朗読だけはしたくないし、彼のもない。別のにしてもらいたい。 引っ越したまま開けてもいない段ボール箱からラジカセを取りだした。のものだったので、触れたこともなかった。そこにはCDとカセットが、が入院する2年以上前のまま入っていた。カセットは椎名林檎の「勝訴ストリップ」で、CDは子どもの英会話の教材だった。の入院を機に送り迎えができなくなり、その塾はやめたが、最後の日、先生からお菓子をもらった。ほんの数回だったが迎えに行った。塾が終わる時間、扉から出て、私の車に向かって走ってくる子どもの姿が今でも焼き付いている。私が子供のころ、やはり塾を出たところで父が迎えに来ていたが、その父の記憶に何が焼き付いていたか、知ったように思った

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