見舞い。約束によれば、甲本ヒロトの清志郎葬儀の追悼文を読むこと、清志郎のCDを持っていくこと、それと「村上春樹を読んで」と言われた。ほとんど果たしたが、村上春樹の朗読だけはしたくないし、彼の本もない。別の本にしてもらいたい。 引っ越したまま開けてもいない段ボール箱からラジカセを取りだした。妻のものだったので、触れたこともなかった。そこにはCDとカセットが、妻が入院する2年以上前のまま入っていた。カセットは椎名林檎の「勝訴ストリップ」で、CDは子どもの英会話の教材だった。妻の入院を機に送り迎えができなくなり、その塾はやめたが、最後の日、先生からお菓子をもらった。ほんの数回だったが迎えに行った。塾が終わる時間、扉から出て、私の車に向かって走ってくる子どもの姿が今でも焼き付いている。私が子供のころ、やはり塾を出たところで父が迎えに来ていたが、その父の記憶に何が焼き付いていたか、知ったように思った