羽ばたくようなしぐさを見せるアホウドリのヒナ。白色は成鳥のデコイ(模型)=10日、小笠原諸島・聟島、小林正明撮影 絶滅の恐れがある国の特別天然記念物・アホウドリの新たな繁殖地作りのため、今年2月、伊豆諸島の火山島・鳥島から小笠原諸島・聟島(むこじま)にヘリコプターで運ばれてきたヒナ10羽が、すっかり大きくなって、間もなく巣立ちを迎える。世界初の人工飼育は順調で、アホウドリたちは2メートル近い翼を広げ、大空へ向かう準備を始めている。(中山由美) 東京から約千キロの無人島・聟島。飼育場所になっている西岸の草むらで、アホウドリたちは時折、バサッバサッと羽ばたくようなしぐさをして、吹きつける風を受ける。 約3カ月、山階鳥類研究所(千葉県我孫子市)の研究員ら5人が交代で泊まり込み、エサを与え続けた。運ばれてきた時は生後40日程度で、体重約4キロ。歩くこともできず、草むらにうずくまっていたヒナは