文:はくたく さて。 ふてぶてしき虎猫・『とりま』の次に俺が出会ったのは、生後二ヶ月ほどの子猫であった。 『とりま』が去って数ヶ月。 事故で重傷を負った俺の体もずいぶん回復してきて、飯も普通に食えるようになっていた頃のことだ。 ある日曜の朝。俺は何の気なしに部屋のドアを開けて外を見た。 ふと、予感がしたのだ。声でもなく、音でもなく……気配としか言いようのない、何かが外に来ている感じだった。 周囲を見渡しても、誰もいない。気のせいかとドアを閉めようと下を見たら、そいつがいた。 ● 子猫は俺を見上げて嬉しそうに声を上げた。 灰色の虎模様。 といえばイメージできるであろうか。ロシアンブルーほど濃い灰色ではなく、アメショーほど模様がクッキリはしていない。 そういう色彩の、掌に収まるほど小さな猫が俺の部屋の前にいたのである。 ● 俺はしばらく迷った。 アパート生活にも慣れ、ゲームと漫画とドライブ三昧