あるところで,入試の得点は入学後の成績とほとんど相関がないが,高校の成績(内申書の評定平均)は入学後の成績とかなり相関があるという話が出た。これは選抜効果である可能性が大きい。入試の得点は選抜に使ったために相関が減り,その分,高校の成績の相関が高くなる。これは数学的には明らかだが,説明は難しい。 単純化して「入学後の成績 = 入試得点 + 高校成績 + 誤差」とすると,入試得点は,選抜に使ったため,入学者については受験者全体より分散がずっと小さくなる。したがって,上記モデルで入学後の成績の分散に占める割合が減り,相関は小さくなる。逆に,高校成績に注目すれば,入試得点の分散が減るので,入学後の成績に占める分散の割合が相対的に大きくなる。