発生は「2035年±5年」と予測 近ごろ新聞やテレビで「南海トラフ巨大地震」に関する報道が多い。「今後30年以内の発生確率は80%」といった表現をよく目にするが、いまひとつピンとこない。地球科学を専門に50年近く研究している私も同じで、日常生活で確率80%と言われても「はて?」と迷ってしまうのだ。 日本は世界屈指の地震国であり、南海トラフ巨大地震は国家存亡の危機に至る激甚災害である。その発生時期は「2035年±5年」と予測されており、今から6年後から警戒を始めなければならない。本稿ではその理由を分かりやすく解説しよう。 【図1】日本の周辺にあるプレート。海側のプレートが陸側のプレートの下に沈み込んでひずみが蓄積し、陸側プレートの先端が跳ね上がって海溝型地震が発生する【時事通信社】 南海トラフ巨大地震の「トラフ」とは、海底に舟底のような平たい凹地形ができる場所を言う。南海トラフは静岡県沖か