(2009年1月31日/2月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 1月末の1週間は、ダボスで人に見られたいような時ではなかったし、実際ダボスにいた人にとっては、冷静さを保っている時ではなかった。 普段は政治家と企業経営者が一緒になって世界の問題の解決を誓う、楽しいお祭りの感がある世界経済フォーラム(WEF)年次総会。ところが今年はスイスのスキーリゾート地ダボスに広がった青空とは裏腹に、はっきりと不機嫌なムードが漂っていた。 ある討論会では、『ブラックスワン』の著者であるナシーム・ニコラス・タレブ氏*1が、ウォール街の金融関係者に強制的にボーナスを返還させて罰すべきだと言うと、聴衆から歓声が上がった。 見る影もなかった相互理解のダボスの精神 ロシアのウラジーミル・プーチン首相は、「ロシアには技術面で支援が必要だ」と言った米デルCEO(最高経営責任者)、マイケル・デル氏の発言を、怒り