東京都内のタクシー運転手Nさん(60)は、30枚の千円札と2枚の5千円札を必ずそろえてから車に乗る。これくらい自前で準備しておけば、続けて1万円札を出されてもなんとか対処できるからだ。 先日も同僚が、朝から立て続けの万札攻撃に出くわし、釣りに困った話を聞いた。 駅から若い女性客を乗せ、ワンメーター先のビルの玄関に車をつけた後のことだという。 「細かいお金はお持ちじゃないですか?」と尋ねても、「早くして!」と取り付く島もない。 「すみません。朝から大きなお札が続いて……」とわび、クレジットカードや電子マネーでも大丈夫だと伝えたが、「早く! 遅刻しちゃうよ」。 「じゃあ、コンビニで両替してきますから」と言った途端、いかにも最近の若者らしい口調で、「ありえない!」。ついにキレた同僚は、「もういいよ」と自腹を決め込んだ。すると、その女性は平然と降りながら、「それでもプロなわけ?」という捨てゼリフを