今回の選挙でどこに投票するのかを考えるとき、たいへん悩ましいのは憲法改正の問題だ。わたしは九条は現状に合わせて改正するか、何らかの条項を加える必要があると思っているけれど、自民党が2012年につくった「憲法改正草案」は、まったく同意できない。しかし自民・公明の政権与党がこれまでにおこなってきた政策を私は妥当だと考えていて、ある程度支持している。つまり、この二重のジレンマをどう乗り越えて投票すればいいのか?という問題。 自民党憲法改正草案はまったく同意できない 自民党の憲法改正草案は、とにかくひどい。たとえば、自民党草案で新設された第24条「家族、婚姻等に関する基本原則」では「家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される」としている。しかし、そもそも家族が社会の基礎的な単位であるという定義そのものが2010年代の日本社会ではすでに崩壊しつつある。単身家庭が過半数を占め、結婚制度が衰退