今の調子で二酸化炭素の排出が続くと、二酸化炭素が溶け込んで海水が酸性化し、海の環境に大きな影響を与えかねないというのは本当ですか。 野尻幸宏 地球環境研究センター 副センター長 (現 地球環境研究センター 上級主席研究員) 大気中の二酸化炭素濃度増加で海洋酸性化は既に起こっていて、海水の酸性度は上昇しつつあります。海水の酸性化は、生物の殻や骨格になっている炭酸カルシウム生成を強く妨害するので、海の生物に影響を与えます。21世紀半ばには生物に対する影響が顕著になる可能性が高いと考えられますが、生物種ごとの影響はまだ十分に解明されていません。海洋酸性化の影響を小さくするには、二酸化炭素の排出を抑制し、できるだけ低い大気安定化レベルを実現するという根本的な温暖化対策しかありません。 海洋の酸性化はもう始まっている 酸性度の指標であるpHは、水素イオン(H+)濃度が高まり酸性度が上がると小さな値、