ブックマーク / honz.jp (3)

  • 『ハウス・オブ・ヤマナカ』 - HONZ

    明治の揺藍期に日の美術品が海外に流出したのは広く知られる。海外の美術商が直接買い付けた物もあるが、日人の手によって広まった物も少なくない。中でも明治期から第二次世界大戦が始まる前まで、欧米で存在感を放ったのが山中商会だ。ニューヨーク、ボストン、イギリスなどに支店を構え、ロックフェラーなどの欧米の富豪に日中国の美術品を供給し続けた。書は、山中商会の事業の拡大と衰退を時系列で描いている。 戦前、それも明治期の美術商は個人での活動が多かった。山中商会も隆盛期に経営を担った山中定次郎の活動が山中商会の評価と重なる部分がこれまでは大きかった。実際、山中商会について詳しい 『山中定次郎扇伝』などの文献では、その書名からもわかるように、定次郎を中心に山中商会の歴史は描かれている。こうした中、書が新たに提示した視点とは、山中定次郎=山中商会の構図をぬりかえたことだろう。著者は明確に記していない

    『ハウス・オブ・ヤマナカ』 - HONZ
  • 『 アメリカの毒を食らう人々』 - HONZ

    久しぶりに仰天した。レイチェル・カーソンの『沈黙の春』を読んだときも、見えざる毒物の恐ろしさに体が震えたが、このはさらに悪質な毒物を意図的に放置しているアメリカという国を告発している。 たとえばノースカロライナのキャンプ・ルジューン海兵隊基地では70年台の終わりから動物たちが死にはじめ、やがて海兵隊の家族たちはガン、先天異常などの多発に悩まされる。原因は軍による過塩素酸塩を含むロケット燃料の敷地内不法投棄であり、地下水に依存した上水道システムにある。この毒物は2004年時点でもアメリカの35州の飲料水で検出されているという。 中国の環境問題と比べると被害人口的には無視できる規模かもしれないが、将来アメリカ軍が支払う可能性のある医療費を考えると、将来の軍事バランスに影響を与えかねない規模である。 書ではこれ以外にも予防接種ワクチンに含まれるチメロサールという物質が自閉症の原因物質であるこ

    『 アメリカの毒を食らう人々』 - HONZ
  • 『画文集 炭鉱に生きる 地の底の人生記録』 - HONZ

    先ごろ、岩手県平泉が世界文化遺産、小笠原諸島が世界自然遺産に認定され、地元は大変な喜びようであったことは記憶に新しい。さらに「世界記憶遺産」に山作兵衛の炭鉱画が選ばれ、昨日、認定書が田川市に届いたというニュースが入った。 実はユネスコの世界遺産のなかにこのようなジャンルがあることを初めて知った。聞けば「アンネの日記」や「ベートーベンの第9草稿」、「フランス人権宣言」などが登録されているという。その中に幼い頃から炭鉱で働き、60歳を過ぎてから初めて絵筆を握った人間の絵が登録されたのだ。 『画文集 炭鉱に生きる 地の底の人生記録』は1967年、山作兵衛75歳のときに出版されたものだ。今回の世界遺産登録を記念して、巻末に金子光晴、石牟礼道子、菊畑茂久馬、南伸坊の書評を付けて新装版として発売された。 書は「ヤマの生活」「ヤマの米騒動」「ヤマの労働」の3部に分かれている。 明治25年(1892

    『画文集 炭鉱に生きる 地の底の人生記録』 - HONZ
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