産業界が「悲鳴」を上げている。全国に広がる電力料金値上げの動きのためだ。関西電力と九州電力が引き上げを申請し、東北電力や四国電力なども追随する。 値上げの理由は原子力発電所の再稼働が進まず、これに代わる火力発電の燃料費が嵩(かさ)んでいるからだ。中でも産業用は家庭用に比べて値上げ幅が約14~19%と大きく、影響が深刻だ。このまま原発を再稼働できなければ追加値上げも避けられない。 工場などが海外に移転し、国内の雇用が失われる産業空洞化が一気に加速してしまう。政府は日本企業を救う視点に立ち、安価で安定的に電力を確保できる原発の早期再稼働を検討すべきだ。 関電と九電は来春、家庭用で約12%と8・5%の値上げをそれぞれ目指している。内部留保の取り崩しや経費削減では対応し切れないと、申請に踏み切った。 今年上期には原発を持つ9電力会社のうち北陸電力を除く8社が赤字となった。修繕費などの削減が続けば、