民生品が入り込んだ理由とそこでの課題 前回、軍用IT分野における民生品利用の事例をいろいろ紹介した。個別の事例を挙げ始めるとキリがないので、背景の説明に話を進めよう。 得られる結果が同じなら、すでにモノが存在していて開発・運用環境が整っており、手っ取り早く利用できる民間向けの製品、あるいは規格を利用することで、安上がりに情報システムを構築・運用できるというわけだ。ただし、そこには落とし穴がある。 昔ながらの軍用コンピュータの場合、いったん導入したものは長年にわたって運用を継続するため、メーカーもそれを前提に保守・サポートの体制を構築する必要がある。初期のイージス艦で使用しているコンピュータは1980年代から使われている製品だ。それでも、ソフトウェアの更新や付加機能の追加により、当初は想定もしていなかった弾道ミサイル防衛に対応しているのだからすごい話だが。 ところが民生品は、数年で製品が代替
コンピュータ、インターネット、缶詰の起源は軍用品 我々が日常的に利用しているコンピュータやインターネットは、起源をたどれば軍用品である。コンピュータは英国で暗号解読用に、米国で大砲の弾道計算用に、複雑な計算を迅速にこなせる機械が求められたのが発端だ。そしてインターネットは言うまでもなく、米軍の研究部門「DARPA(Defense Advanced Research Projects Agency, 国防高等研究計画局)」がネットワークについて研究したのが発端だ。 これらのほか、軍用として開発されたテクノロジーが民間にスピンアウトした例はたくさんある。手近なところでは、缶詰・瓶詰・レトルトパウチ食品なんかがそうだ。 ところが1990年代辺りから状況が変わってきて、ことIT分野に関しては民生品のほうが進歩が早くなってしまった。しかも、同一規格の製品が大量に出回るからコストも安い。それが軍事転用
民生品利用=COTS化とは? そもそも、軍隊で武器として用いられるものには民間では出番がない特殊な製品が多い。そうした製品であれば、軍用と民生用の区別はつけやすい。 また、軍用品では気温・粉塵・騒音・振動などの環境条件が過酷だから、それに耐えられるような堅牢性が求められる。軍では、軍隊で使用する装備品について規格や条件を定めているが、それらの中で最もよく知られているのが、MILスペック、つまり米軍が規定している仕様書だろう。 ところが軍隊の装備品と言えば、小銃・機関銃・火砲ぐらいしかなかった時代ならともかく、ハイテク化・情報化が進んできた昨今はいささか状況が異なる。コンピュータやネットワーク機器など、民間で多用されているものと同ジャンルの製品が大量に用いられるようになってきたからだ。 こうした製品は進歩が早く、しかも開発に費用と時間がかかる。それであれば、軍が求める性能を満たしている民生品
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