【ソウル=黒田勝弘】北朝鮮の20代の新指導者・金正恩氏についてその肥満ぶりがあらためて国際的関心を呼んでいる。「貧困と飢餓の国の指導者がなぜ?」という疑問だが、ソウルの専門家たちの間では「普通の人とは違うという他者との絶対的差別化で“貴種”をイメージ付け人民に君臨するため」というのがもっぱらの分析だ。 脱北者たちの多くは金正恩氏の肥満について「1人たらふく食って何だ、とかえって反感を買うだろう」というが、研究者たちは「“金王朝”といわれるほど伝統的な考え方が強く残る北朝鮮では、肥満は依然、権力と富と権威の象徴であり、指導者への信頼と忠誠をもたらす手段だ」という見方をしている。 過去2代の金日成・金正日父子も肥満で知られたが、金正恩氏もその「肥満の統治学」を遺訓として受け継いだというわけだ。 その意味で金正日の死にはナゾが残る。3年前に脳卒中で倒れた後、急に痩せ、それまでパンパンだった腹が引