著者:まつもとゆきひろ APL と J 今回は古典的言語の一つ、APL とその後継である J について紹介します。 APL APL は「A Programming Language」の略称です。 なんとも人を食ったような名前ですね。 名前からは典型的なプログラミング言語を連想するのですが、実際には空前絶後、隠れた愛好者は多いものの、絶対に主流にはならないことが運命付けられた言語でもあります。 APL は 1957 年 Kenneth E. Iverson によって発明された記法で、1962 年に発行された彼の著書『‘A Programming Language’』で発表され、1964 年に実際の処理系が開発されています。 APL の利点は、配列操作機能が非常に強力な点です。 これにより APL によるプログラミングは (当時主流だった FORTRAN などと比較して) 非常に生産性が高かっ