ブックマーク / hiko1985.hatenablog.com (10)

  • 練馬区立美術館『サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法』 - 青春ゾンビ

    東京都の練馬区立美術館でレイモン・サヴィニャックの大きな展示会が始まった。正直なところ、「いまさらサヴィニャックかぁ」なんてことも思わないでもなかったのだが、これが大いに楽しんでしまった。サヴィニャックの弾けんばかりのポップネスはとびきりに楽しい。そして、そこにまぶされたシニカルとユーモア、物事の質を大胆かつ繊細に捉えるイメージの跳躍は今なお有効で、観る者の心を掴んで離さないのだ。 練馬区立美術館は西武池袋線の中村橋駅*1から徒歩5分。都心を外れた立地だからか、日でも人気の高いサヴィニャックにも関わらず、客足はまばらだ。おかげで、じっくりと展示を眺めることができて、実に快適。その上、都心の美術館以上の充実した内容なのである。リトグラフによる美しい発色のポスターは、3メートル以上のビックサイズのものまで!貴重な原画やデッサン画を含む展示は全部で約200点。2011年にギンザ・グラフィック

    練馬区立美術館『サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法』 - 青春ゾンビ
    natsukitchen
    natsukitchen 2018/03/17
    中村橋、3月に古本屋ができたし美味しいラーメン屋さんもあるし、いい町ですよ。
  • 坂元裕二『anone』1話 - 青春ゾンビ

    坂元裕二の新作ドラマ『anone』の放送がついに開始された。ジャンルレスゆえに、現段階ではまだまだ漠然とした印象だが、イメージを織り重ね、ストーリーを形作っていくその筆致はやはり郡を抜いている。1話における白眉は、偽札を巡る歪なカーチェイスで3つの群像劇が交差していくスペクタクルだろうか。その果てに、「が脱げてしまう」という情けないアクションで人物たちがひっそり結びついてしまうという描き方には、「坂元作品を観ている」という興奮を覚えた。序盤で「名言っていい加減ですもんね」と自虐的に言及しているにも関わらず、やっぱり坂元裕二のドラマは名言でまとめられてしまう。坂元裕二の名言砲、坂元裕二ドラマは名言の癖がすごい・・・気持ちはわからないでもない。「お金じゃ買えないものもあるけど、お金があったら辛いことは減らせるの」も「大丈夫は2回言ったら大丈夫じゃない」も確かに良いのだけども、やはりその真骨頂

    坂元裕二『anone』1話 - 青春ゾンビ
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    natsukitchen 2018/01/13
    ドラマを観てから『青春ゾンビ』を読みにくる日々が再び巡ってきた。
  • 新しい地図『72時間ホンネテレビ』 - 青春ゾンビ

    毎日みんなで口にするのは「ああ あいつも来てればなぁ」って 当に僕も同感だよ それだけが残念でしょうがないよ スチャダラパー「彼方からの手紙」 そこに”いない”と感じるってことは、実はむちゃくちゃ”いる”ということなのだ。『72時間ホンネテレビ』は3人としてスタートを切る番組ではなく、どこまでも5(6)人を諦めない、という意志のように思えた。ちなみに、上に引用したスチャダラパーの「彼方からの手紙」という曲はこう締めくくられる。 ぼくはすべてを把握した ここにこなけりゃぼくは一生 わからずじまいで過ごしていたよ あんがい桃源郷なんてのは ここのことかなってちょっと思った 君もはやく来たらと思う それだけ書いて筆を置く まさに桃源郷のような3日間だった。もちろん、72時間の内、8割方は既存のテレビ番組の冴えない企画の焼き増しで、「地上波放送じゃできない」という謳い文句は決して適切ではない(地

    新しい地図『72時間ホンネテレビ』 - 青春ゾンビ
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    natsukitchen 2017/11/06
    わたしが感じたこと言いたいことがここに全部書いてあった。完璧な考察。
  • 坂元裕二『カルテット』最終話 - 青春ゾンビ

    『カルテット』がついに終わってしまった。なんたる幸福な3ヵ月であったことだろうか。坂元裕二の最高傑作か否かという判断は観終えたばかりなので留保するが、間違いなく『それでも、生きてゆく』(2011)、『最高の離婚』(2013)という燦然と輝くマスターピースに肩を並べる作品の誕生である。坂元裕二への強烈な愛を叫びながらも、作家としてのピークはもう過ぎてしまったのではないだろうか、と密かに案じていた自身を恥じ、そして喜びたい。『カルテット』ではこれまでの得意技を更に研ぎ澄まし、時代の空気に適応しながら、新しい領域に果敢に突入している。坂元裕二はまだまだ我々の心をおおいに揺らし続けてくれることだろう。さて、最終話ということですが、物語としてのピークは9話で終えていて、まさにエピローグという印象。これまで鳴らしてきたいくつかのテーマを丁寧に再確認しながらも、”永遠に終わらない”という稀有な感覚を画面

    坂元裕二『カルテット』最終話 - 青春ゾンビ
    natsukitchen
    natsukitchen 2017/03/23
    宙ぶらりん&家森描写が少ない、に不満が残ってたんだけどこのレビュー読んだらなんかストンと腑に落ちた。毎週ありがとうございました!
  • 坂元裕二『カルテット』8話 - 青春ゾンビ

    またしても心震えるような傑作回である。8話に到達してもなお、坂元裕二のペンが絶好調だ。例えば、「お義母さん!(駆け寄って)野沢菜ふりかけ」というギャグのようなシークエンス1つとっても、真紀(松たか子)にハグを期待してかわされる鏡子(もたいまさこ)に、同じく別れ際にハグをすかされた幹生(宮藤官九郎)の顔がチラつく。こういった些細な書き込みによって、鏡子というキャラクターに「あぁ彼女は幹生の母であるのだな」という実感が宿るのだ。こういった人間の小さな営みを積み重ねることのできる細部の充足こそが、坂元裕二の真骨頂だろう。穴釣り、冷え冷えの便座、穴の空いたストッキングと、今話においても”ドーナッツホール”のモチーフが活き活きと登場し、物語に華を添える。ナポリタンとブラウス、ナポリタンと粉チーズ、と”赤”と”白”の混ざりあいが提示されたり、すずめ(満島ひかり)にチェロを教えたという”白い髭のおじいさ

    坂元裕二『カルテット』8話 - 青春ゾンビ
    natsukitchen
    natsukitchen 2017/03/09
    すずめちゃんの切なさ回と思いきや真の切なさ担当は家森だった回。おもしろい、おもしろすぎるぞ青春ゾンビの『カルテット』分析よ!!
  • 坂元裕二『カルテット』7話 - 青春ゾンビ

    素晴らしい!!6話ラストの怒涛の急展開をして、やはり『ファーゴ』なのか!?と盛り上がっているふりをしながらも、満島ひかりの「だいたい7話くらいで坂元さんは・・・ちょっとねぇ」という愚痴に共鳴している自分がいました。しかし、7話においても決しておかしな方向に舵を取らず、これまで積み上げてきたものを礎にしながら、物語が転がっていった事にホッと胸を撫でおろしております。物語の加速度はグングンと上がり、それらがカーチェイスアクションで発露されていく。めくるめくドライバーチェンジを積み重ねるカーアクションの連鎖(一体、この7話で何度の車の乗り下りがなされたのか)は出色の出来栄えだろう。6話、7話とすっかり蚊帳の外の男性陣もいい味を出している。倉庫に閉じ込められた別府(松田龍平)が通路に出した助けを求めるメモが無残にもひっくり返り、雪道でひっくり返っているピクニッククイズボードを家森(高橋一生)が拾う

    坂元裕二『カルテット』7話 - 青春ゾンビ
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    natsukitchen 2017/03/02
    この考察を、なるべく待たずに読みたいがためにあえてリアタイでなく録画を翌日に観るなどという本末転倒な体制に入りつつある。
  • 坂元裕二『カルテット』6話 - 青春ゾンビ

    カルテットメンバーが一斉に介さない。ほとんどの尺を巻夫婦の回想に費やす異色の6話である。『MOTHER』8話における道木仁美(尾野真千子)の回想、『それでも生きてゆく』7話における三崎文哉(風間俊介)の回想など、この手法は坂元裕二作品においてたまに顔を出す大技である。物語の進行を停滞させてまで語らねばならない過去というのは確かにあるのだ。 おそらくデレク・シアンフランス『ブルーバレンタイン』(2010)を意識したと思われる、壊れてしまった夫婦の時間のプレイバック。小さな声で喋る者同士が、その聞き取れなさ故に互いの距離を詰めていく、という実に瑞々しい恋の始まりが記録されている。真紀(松たか子)の好きなピエトロ・マスカーニのオペラ『カヴァレリア・ルスティカーナ』が流れ、幹生(宮藤官九郎)のお薦めの詩集に零れた珈琲が染みている。それを拭き取るための布巾を取りに台所に立った2人がキスをする。まさに

    坂元裕二『カルテット』6話 - 青春ゾンビ
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    natsukitchen 2017/02/23
    このブログ読まないと、今週の『カルテット』が終わらない。
  • 坂元裕二『カルテット』5話 - 青春ゾンビ

    30分の放送を経て、やっとのことタイトルバックが現れる。その直前に披露されるのはカルテットによる実に幸福な路上演奏だ。1話のオープニングを思い出したい。路上でチェロを独奏する世吹すずめ(満島ひかり)に足を止めるものはいなかった。誰からも耳を傾けられることのなかったその音色が、彼女の運命共同体であるカルテットとして奏でられると、かくも”世の中”に浸透する。しかし、このシーンがほとんど夢のような鮮度でもって撮られているのが気になる。演奏するカルテットの表情、演奏に手拍子で称える人々。あまりの多幸感に、えもすれば覚めることへの切なさすら伴ってしまう、あの”夢”のような鮮度である。たまたま居合わせたノリのいい外人の煽りを端にして続々と道行く人が集まり、踊り出す。果たして、こんなことありえるだろうか?この過酷な現実においては、路上で無許可で演奏しようものなら、たちまち警察が現れるのではなかったか(3

    坂元裕二『カルテット』5話 - 青春ゾンビ
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    natsukitchen 2017/02/16
    待ってましたーーー!!そして吉川こずえ的女子という洞察の素晴らしさよ。わたしもあの詰めよりシーンは岡崎京子の『好き?好き?大好き?』の怖さを思い出した。でも誤字(有栖)は後で直した方が良いかと。
  • 坂元裕二『カルテット』4話 - 青春ゾンビ

    軽井沢の別荘にゴミが溜まっていく。なるほど、カルテットのメンバーは皆一様にして”捨てられない人”だ。たとえば、すずめ(満島ひかり)ならば同僚からの”出てけ”のメモを引き出しが一杯になるまで溜め続けていたし、巻(松たか子)は失踪した夫の下をそのままの形で保存する。別府(松田龍平)は長年の巻への片想い、家森(高橋一生)は別れた家族への想い、もしくは”アジフライにはソース”というこだわりを捨てられない。この捨てられなさは当然、”呪い”というイメージと結びついていることだろう。捨てられないゴミは腐臭を放ち、別荘の部屋に侵してくる。この”侵入”のイメージが4話のキ―である。ゴミに続いて、半田が、そして鏡子(の眼鏡)が、光太が、茶馬子が、次々に他者が別荘に侵入してくる。これまでカルテット以外に別荘に入ったのは、有朱だけ。しかし、それはすずめのみが在宅中の時であったはず。4人が揃った別荘に他者が侵入

    坂元裕二『カルテット』4話 - 青春ゾンビ
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    natsukitchen 2017/02/09
    やっと4話が観れたので読めた。今回も秀逸なレビュー!
  • 坂元裕二『カルテット』3話 - 青春ゾンビ

    親子でしょ? という岩瀬純(前田旺志郎)の屈託のない問いかけが、世吹すずめ(満島ひかり)に纏わりつく”呪い”をギュっと締めつける。20年以上音信を絶っていた父の危篤。家族の死に目には駆けつけるのがホームドラマの定石、いや、この世界の”常識”のようなものだ。想いを寄せる別府司(松田龍平)との会話がフラッシュバックしたことだろう。 家族のお祝い事なんで帰ります “世界の別府ファミリー”から除外され苦しんでいるで別府すら、家族というフレーズの前にはひれ伏さざるえない。しかし、すずめにとって父はどうしても許すことのできない存在だ。最期の最期で全部をなかったことにして、”いい人”になろうとしている父が許せない。 怒られるかな…ダメかな 家族だから行かなきゃダメかな 行かなきゃ… その零れる小さな叫びを聞き、それまで「病院に行こう」の一点張りであった巻真紀(松たか子)が、ギュっと手を握り、「逃げよう」

    坂元裕二『カルテット』3話 - 青春ゾンビ
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    natsukitchen 2017/02/02
    『カルテット』のレビューはこのサイトのがすごく好きだ。
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