金融危機の影響で、メーカーが派遣労働者を削減する「派遣切り」が加速する中、労働者を送り出す大手製造業派遣会社の社員が毎日新聞の取材に応じ、契約打ち切りを通告する立場の苦悩を訴えた。労働者に対する人権侵害とも言える違法行為に触れることも少なくないが、仕事をもらう派遣会社の社員としては、メーカーに声を上げることもできない。社員は「路頭に迷う労働者を救えないのがつらい。すごく切ない」と打ち明けた。 この派遣会社の場合、契約の打ち切りはこれまで1日数人の規模だったが、最近は数十人程度に及んでいるという。多い日は数百人に打ち切りや更新しないことを告げる。 西日本の工場で3年にわたって無遅刻無欠勤で働き続けた50代男性。社員はこの男性に契約打ち切りを通告した。男性は「長い間お世話になりました」と頭を下げたという。社員は「新たな仕事を紹介したいのだが……。申し訳ない」と謝った。「状況は分かっている。