吉見義明著 『草の根のファシズム 日本民衆の戦争体験』 草の根のファシズム 日本民衆の戦争体験 (岩波現代文庫 学術452) 一九三五年頃から四五年八月までの約十年間、日本社会はどのような雰囲気だったのだろうか。狂信的な日本主義にすっかり覆われ、ほとんどの人が政府に無批判になり熱烈に戦争を支持していたのだろうか。あるいは物言えば唇寒し、政府に批判的なことを言えば何をされるかわかったものでないので多くの人が怯えて肩をすくませていたのだろうか。 言うまでもなく日本社会、日本人といってもその姿は多様であるが、現在の感覚から見ると当時の人々の考えというのは捉えどころがないように思えてしまうかもしれない。歴史的文脈をふまえ考えねばこれを掴み損ねてしまう。 「日露戦争後に芽生えた大正デモクラシーは「外に帝国主義、内に立憲主義」を主張するところから出発したとされる(松尾尊兊『大正デモクラシー』)が、こ

