※以下、結末までのネタバレを含みます。 『女の平和』が実現するバービーランドグレタ・ガーウィグ監督の最新作『バービー』は、おもちゃが主人公の子ども向けファンタジー映画とは思えないような実存的テーマを扱った作品である。ヴィジュアルはピンクを基調としたポップなものだが、聖書や古代ギリシア喜劇、メアリ・シェリーのゴシックホラー小説『フランケンシュタイン』(1818)などにさかのぼる哲学的課題を扱ってもいる。過去のSFやファンタジー、ホラーなどを消化しつつ、そこに現代的なフェミニズムなどの視点を加えた作家性の強い作品だ。 ヒロインである定番バービー(マーゴット・ロビー)は、マテル社が出している他のいろいろな種類のバービーたちと一緒にバービーランドに住んでいる(登場人物の大半がバービーかケンなので、これ以降、便宜的にヒロインは定番バービーと呼ぶことにする)。バービーランドはいわゆる典型的に「ガーリー
![映画『バービー』レビュー──作品と“バーベンハイマー”対応に見る「創造主の地位の簒奪」](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/cc0dce93d8cb43afd3602ab945efcdd1c4eb49b0/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fmedia.gqjapan.jp%2Fphotos%2F64d1abf231cacc39a0113bb3%2F16%3A9%2Fw_1280%2Cc_limit%2Fbarbie-movie-1.jpg)