「磐前村印」に関して、東北地方に知られている古代印章と推定されるものを紹介する。 ▲「国府厨印」-宮城県宮城郡七ヶ浜町花淵に鎮座する鼻節(花淵)神社蔵。縦・横4・1㌢、高さ3・9㌢、型式は弧紐無孔で「磐井村印」と同じである。七ヶ浜町指定文化財。平安時代か? 明治元年(1868)社殿修理中に境内で発見された。この地に陸奥国府の多賀城の厨があり、海産物の調達の際に使用された印章ではないかと推定された。多賀城に近接する海港でもあったこの地に、多賀城に関連する何らかの官衙(役所)が存在した可能性は高い。 なお、塩釜神社宮司の遠藤信道氏は、「国司の品外の官である「主厨」が用いたものではないか、主厨は伊勢(三重県)・安房(千葉県)・陸奥・四国・九州などに置かれた品外正八位相当の官職である」と述べている。 ▲「極楽寺印」-旧宮城県栗原郡高清水町(現栗原市)影の沢、通称折木山の林道工事の際に、地下30㌢の