病院の帰りに電車に乗る。次々と窓にあらわれては消えていく町がどれも同じ顔をしている。一卵性双生児のようだ。チェーン展開のファーストフード、ファミリーレストラン、居酒屋、ドラッグストア、コンビニ。それらが違う街のほぼ同様の位置にあるからだ。ずっと神奈川で暮らしている。街々が細胞を均一にするウイルスに侵食されるように同じ顔に変わっていくさまを見てきた。小学生の頃。近隣にチェーン店がやってくるたびに学校中が熱病にかかったような騒ぎだったのを思い出す。「おまえ西友いったか?」「西友すげーぞ」。熱病に対抗するワクチンの普及は早い。その後、街は発熱することなく迅速に着々とチェーン化は進んでいった。同じ顔をした街がふえていくなかでこの流れが本当に正しいのかという不安と原風景が否定されているような寂しさを感じることもある。だが、世の流れだ。実際に便利だ。一度に一ヶ所で用は済む。24時間買い物が出来る。セン